いろんなタイプの人々がいる
大阪大学(以下、阪大)の留学生交流情報室であるIRIS(Information room for international students)で5年働き、その時に、大阪大学留学生ホストファミリープログラムを担当したので、年間200人の留学生をホストファミリーと組み合わせました。5年なので、間違いなく1000人には会い、その後、理学研究科・理学部留学生相談室でも4年半の間に留学生全員に面接しているので、合計1500人から2000人は会ってるかなと思います。IRISは阪大の全学年の留学生が集まる所で、新しい留学生がIRISに来る機会があり、会ったことのある人はたくさんいます。理学部では、ひとりずつ留学生と面談してるので、大体の顔と名前を覚えています。
私は日本語のボランティアやホームステイのボランティア活動をしていましたが、阪大に就職する前には、阪大の留学生のイメージはあまりなかったです。一般的に関西では、阪大生の留学生は真面目で、勉学に勤しんでる学生というイメージがあります。私もそういうイメージはありました。就職後もそれは一緒です。
阪大の留学生に共通するタイプはなくて、多種多様です。生まれ育った環境も家族構成も、バラバラです。韓国の人はこう、中国の人はこうっていうのが、もしかしたらあるかもしれないけれども、ほとんどパターンがなくて、枠にはまりません。共通点は阪大、それだけです。本当にいろんなタイプがいるなと思います。
10年ぐらい前、ブラジルから来た留学生の力強さをすごく感じたことがありました。例としては、日本に来て1週間で、自転車を値切ってました。どうやって値切ったかというと、スーパーで、10人留学生を集めて、自転車10台を買うと、1万2千円の自転車が1万円になったそうです。それを聞いた時に、生活力があるなと思いました。
留学で広がった視野
高校1年の時に、アメリカのシアトルに1か月間ホームステイして、文化の差をすごく感じることがありました。私のホストファミリーは、運転しながらアイスクリームを食べていて、危険なんだけれど、それが「あり」なんだこの国は、と思いました。そして、ドラム式洗濯機を開けた時に、運動靴が出てきました。日本だったらあり得ないことです。 洗濯機で靴を洗う、そういうのが、私の中では異文化でした。
また、ボランティアをしてくださったホストファミリーのグループリーダーは、面倒見がよくて、すごくいい方でした。その女性がボランティア活動で疲れ果てて、道端で横になったことがありました。私の母はそんな所で絶対寝ないのですが、ボランティア活動経験はありません。母と彼女、人間的にどちらが良いのか、何を基準として判断すればいいのかわからなくなりました。
ホームステイを通して、私の価値観は大きく変わりました。「これもあり」を学びました。このような経験がなかったら、ボランティア精神や異文化を理解することはなかったと思います。
留学することの意味は
経済的負担、卒業時期が遅れる問題があると思いますが、若い時に、留学で見識を深める広げる、視野を広げることは人生において価値のあることです。また、ここの研究所・施設で研究がしたい、この先生のこのテーマを知りたいと思うなら是非留学してほしいです。
グローバル社会では交渉ができないといけない、どんな研究であっても討論しないと前に進まない、そういう技術を身につける意味でも、できるだけ海外の人と接触した方がいいと思います。だから留学の意味は、絶対にあります。
(インタビュー:2017年12月)