働き盛りシニア世代

群馬県立女子大学

働き盛りシニア世代

PEOPLEこの人に取材しました!

本多宣平さん

セブン-イレブン群馬県内店舗勤務

日本では60代、70代といったシニア世代*の方々が定年を超えてもまだ元気に働いていることに驚かされる。特に、働きやすい職場といわれるコンビニでは、元気に働くシニア世代の姿をよく見る。人生の先輩シニア世代は趣味を楽しむ一方で、これまでの経験と知恵を生かして社会に貢献する。このような日本の「コンビニで働くシニア世代」の現状を知りたいと思い、群馬県内のセブン-イレブンで働く本多さんに話を聞いた。

*「シニア」の語源は、英語の「senior」から来ており「年長者」、「上級生」、「上級者」、「高いランクの地位を持つ」などを意味しています。本記事は60代以上をシニア世代とする。

セブン-イレブンで働き始めたきっかけ

Q:コンビニで働くようになったきっかけはなんでしょうか。

前職を辞めたときに、知人が経営しているコンビニの手伝いを依頼されたのがきっかけでした。身体を休めて第二の仕事をしようと考えていたので、グッドタイミングでした。早期退職だったのでまだまだ仕事を継続したいという気持ちもあり、頑張ろうと仕事を続けています。知らないうちに、あっという間に70歳になっていました。幸いなことに、今勤めている店舗のオーナーさんが、70を超えても頑張ってくださいと採用してくれたので、ありがたく働き始めました。お客さま、若い従業員の皆さんにはご迷惑をおかけしていると思うけど、楽しく接客業務を続けています。

人間同士の会話を通して、楽しい生き方を探す

Q:本多さんは一週間に何時間働いていますか。

私は、働いている時間は平日が2時間、それから、その日によって変わりますが、土曜日と日曜日、2時間であったり、3時間であったり。私の都合に合わせオーナーさんが調整してくれます。

Q:お体は大丈夫ですか。お疲れになりませんか。

やはり、身体はもう70歳なので、疲れないっていうのは嘘になります。でも人間生きていくうえで、仕事をしなければ食べていけないわけですから、健康には注意しながら頑張っています。

Q:アルバイトで感じるやりがいはありますか。

仕事でお店に出勤して、色々な人生経験を持っている従業員との会話、常連のお客さま、知人のお客さまとの会話を通じて、新たに知識を得ることができることです。自分をさらに成長させています。
家にいれば、テレビ番組をぼーと見ているだけになります。直接人と接することが一番だと思います。
だから、仕事を通じて人間の喜怒哀楽を観察しながら自分で楽しい生き方を探しています。そうすればもっとやりがいも見つかると思います。

Q:お仕事の内容の中で、一番大変なことはなんですか。

一番大変なのは、来てくれるお客様とのコミュニケーションです。それが大切だと分かっても、それぞれのお客さまの性格もありますので、合わせて会話をすることが難しいと感じます。
仕事で大変なのは、素早くレジ操作をして間違いのないようにすることです。そのことに神経を集中させます。現金の間違いを出さないように注意します。また、急いでいるお客さまもいるのでスピード感、清潔感を求められます。それぞれの店舗で扱う商品が異なり、新商品が出てくるので大変です。だけど徐々に心配も解消されてきます。お客さまからお金を頂くのは大変だということです。思いこみの勝手な判断は禁物です。

Q:シニア世代として、コンビニの作業についてどう思われますか。

ここでの作業は、基本はレジが主体で、操作指導を受けながら覚えて行けば、何とかできるようになると思っています。最初は、レジ横にある揚げ物のようなバーコードのない商品を覚えるのに戸惑ったけれど回数を重ねていけば対応できるようになります。分からない時は周りの従業員に尋ねれば指導いただけます。
以前もコンビニに10年以上勤務していたから、自信はありましたが、店舗の雰囲気と来店するお客さまの雰囲気になじむのにちょっと時間がかかりました。地域によって客層も変わるので、そこはちょっと大変ですが、自分のペースをつかむことができれば大丈夫です。
何といってもその店の雰囲気に慣れることが大切です。若い従業員のスピードに圧倒されてショックもありましたが、オーナーさんの声に押されて70歳なら70歳なりにスピードアップし対応できるようになっていると思います。
セブン-イレブンの仕事は細かな作業がありますが、分からない時は聞きながらやり、手間のかかる作業は後で聞くこともあります。私の場合は、配達も兼ねるので勤務時間は短くてレジ作業が中心となっていて、課題は徐々に解決していくことにしています。今は若い人たちに迷惑をかけていると思いますが、何とか挽回したいと思っています。

Q:本多さんは何歳まで働きたいと思われますか。

いまは年金生活です。でも年金生活だからといって、仕事をしないでいると、能力も体力も落ち込むだけですので、働く時間は短くても、生活の足しになるような賃金を、働いてもらうのがいいと思っています。自分が楽しめればいいっていう感覚でいつまでも働けたらうれしいですね。脳の活性化のためにも一歳でも長く、若い人にまじって働けたらいいと思います。ただ空気を吸って、ご飯を食べて、生きてるだけでは、退屈ですので、とにかく、仕事をしながら自分の生活は自分で守っていくんだ、っていうことだと思います。

家族の考え

Q:このバイトを始めるときに、ご家族とご相談されましたか。

70を超えて勤める時に、家族の承諾が必要になります。この手続きはどこでもあると思うが、子どもに口頭注意を受けながら保証人になってもらいました。それで今の店の採用が決まりました。

Q:その時は奥さんと娘さんは賛成してくれましたか。

そうだね。「ジジイだからって遊んでるんじゃない、仕事をしなさい」ってことだよ(笑)。

仕事を長続きさせるコツは人生を楽しむこと

Q:お仕事を長続きさせるコツはありますか。

まず、楽しむことです。あとは、相手によって楽しむことをそれぞれ別にすることです。そうすると楽になります。もやもやしないで、すっきりした気持ちで仕事ができるように自分でコントロールすることが大事です。やっぱりその中で、人間関係をとにかくしっかりつくることです。自分の兄弟と同じように、お付き合いできる人間をどう作るか。自分の日々の環境をありのままに話をしても、受け入れてくれる仲間や友だちを作ることです。そうすることでストレスを解消していけばまた頑張れます。

同じシニア世代の人たちにメッセージ

Q:これからアルバイトしたいと思っているお年寄りの方が多いと思いますが、その方々にどんなメッセージがありますか。

60歳の定年まで会社で頑張ってきたわけですから、退職した後に、頭の回路をリフレッシュする時間が必要です。でも長さは、1年は長すぎると思います。1年も休むと、自由にリフレッシュするために休もうと思ったのに働くことがいやになりますし、飽きると思います。だから、半年ぐらい休んで、働くほうがいいと思います。その間は、少し家の周りの人たちとの生活を楽しめばいいと思います。それまでは会社人間だったとしても、これから生きていくうえで、地域の中で、お互いにコミュニケーションをとりながら、生きていかなきゃならないですから。将来に向けた対策を立てなくてはならないだろうなって思います。そういうことを考えると、やっぱり働いたほうがいいなって思います。

(インタビュー:2019年6月)

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