EVENT REPORTS実施報告

2021年春プログラム(オンライン) 開催レポート

2021年春プログラム(オンライン) 開催レポート

2021.05.10

対象
15歳~19歳の高校生年代
参加費
無料(※通信費は自己負担)
期間
2021年3月21日(日)、30日(火)、31日(水)、4月3日(土)、4日(日)、11日(日)
オンライン第3回のパフォーマンス合宿は、テーマを「演劇×VR」として実施し、全6日間のプログラムに日本国内の高校生16名(アメリカ、台湾、中国、日本、マレーシアにつながりをもつ)が参加しました。

MOVIES

PHOTOS

「演劇×VR」にチャレンジ

オンライン第1回、第2回時とはテーマを変え、オンラインで演劇を使って交流するプログラムを企画しました。一緒に演じるには「場の共有」をより体現する必要があると考え、Zoom等のビデオ通話に加え、更に“近くにいるような感覚”で交流できるVR(バーチャルリアリティー)機器の導入を検討しました。

運営スタッフ、ファシリテーターのほとんどがVR機器初心者ということもあり、バーチャル映像を配信している「Vtuber」(VRのYouTuber)をファシリテーターにお迎えし、共に研究しながらプログラムを組み立てました。

VR機器を主催者がレンタルして参加者に発送する必要があることから、今回は国内からの参加者のみに限定しましたが、北海道から沖縄まで広い地域からの参加者がおり、桜の開花状況や気温の違いなど、オンライン画面上で多くの情報が交換され、普段出会えないような人同士での交流が生まれました。

6日間の流れ

前回同様、全6日間、各日は約3.5時間のプログラムを組み立てました。

プログラム内容参加者の反応
1日めZoom上でお互いを知り合うためのアクティビティー「これからが楽しみ」「もっとみんなのことを知りたい」等のコメント多数
2日めVR上で初めて集まり活動、Zoomでチームの話し合いスタートやらないといけないことが多く心配な様子と、VR上で出会えたことを楽しんでいる様子
3日めチームでの作品作りについての話し合い、それぞれの春の思い出をシェア段々VRに慣れてきて自由に動けるようになってきた感触
4日めチーム作品撮影、構成について話し合いよい作品を作るために一生懸命アイディアを出し合う
5日めチーム作品追加撮影、VRでのダンス撮影自分たちでサポートしあい、作品完成に向かっている様子
6日め発表会、振り返りこれまでの大変だったことを振り返り、これから活かしたいことを話す

創造力全開の作品作り

今回の各チームの作品は3部構成。

  1. 自分の思いを詩にして動画にした「I am from」
  2. VR上でチームのダンスを踊った「CMダンス」
  3. VR、写真、動画などを自由に組み合わせた春の物語「フォトストーリー」

「I am from」は、アメリカの演劇教育で自己開示の手段としてよく用いられるもの。小さいころ好きだったお菓子や遊び場、尊敬する家族など、テーマを決めて短い詩を書き、読み上げます。それぞれが好きなことや考えていることが見える動画となりました。

「CMダンス」は、各チームのダンスリーダーが、チームメンバーがそれぞれ提出した“自分のポーズ”をつなげて1つのダンスにしたもの。VR上で踊って作品に組み込むため、VR上で上手く動けるように注意しながら取り組んでいました。特に、VRでは頭や手の動きはできるが、足の動きができず、足のフリは使えないことがダンスを作るのに苦労したチームが多かったようです。

「フォトストーリー」は、それぞれが持ち寄った春の思い出の写真のエピソードをシェアし、それをもとにチームで新たなストーリーを作成したもの。皆の春の思い出をどのように表すか、どんな撮影方法で撮るか、チームでの話し合いには多くの時間を要しました。
同じテーマでも、それぞれチームの色が出た作品となりました。

「やってみたい」を大切にした役割決め

前回の合宿から、チーム内での様々な役割を分担して活動できるように、役割を事前に決めてからチームの話し合いをはじめていました。 今回も、作品の構成が3部に分かれていることから、以下のように役割を分担し、それぞれ中心になって考える人を決めておくことで、スムーズな話し合いや作品作りとなるようにしました。

<役割と分担内容>

戯曲リーダー:フォトストーリーの戯曲(台本)を作成する。

音楽リーダー:チームの作品(主にCMダンス)のイメージにあう3~5分の音楽を作成。家にあるものや楽器を使って演奏して録音するか、アプリで打ち込んで作成。著作権フリーの音楽を探してくるチームもあった。

ダンスリーダー:チームメンバーが考えた自分のオリジナルポーズを組み合わせてひとつのダンスにする。その説明と実演を録画したビデオをシェアし、チーム全員に同じダンスを覚えてもらう。

編集リーダー:フォトストーリーの映像編集に加え、できあがった音楽やダンスを合わせてひとつの動画作品に編集する。

チームリーダー:チームのまとめ役。チームの制作進行、話し合いの司会、スケジュールの確認、困っているメンバーのサポートなど。オンラインで実施した合宿第1回及び第2回の参加経験者が今回のサポーターとなり、各チームのリーダー役として参加。

それぞれが自分の役割を遂行しながら、他のチームメンバーが困っているときにはすぐにサポートし、一緒に作業を進めていました。

成果を披露する発表会

110名近くの見学者を得て行った発表会では、予定していた質疑応答の時間を大幅に延長し、多くの質問、感想をいただきました。

ファシリテーターのひとりである森永明日夏さんがニューヨークで教育演劇活動をされている関係もあり、発表会にはアメリカ在住の演劇界の方々も多く見学に来られ、貴重な感想を寄せてくださいました。抜粋、(明日夏さんのご協力で)和訳してご紹介します。

「みんなのパフォーマンスにびっくりして、本当に圧倒されました。特に際立っていたのが、みんなのコラボレーションです。アート、芸術の世界ではとても大切な事です。チーム同士もお互いに刺激し合いながら作品を作っていったことが、動画から感じられました。ひとりひとりの個性を大切にしながらコラボレーションしている様子に心を打たれました。
想像力の豊かさが本当に素晴らしかったです。本当にすべてのパフォーマンスが素晴らしく、興味深くて、すべての作品をもっと見てみたいと思いました。ブラボー!!」

「まず5日間でこのパフォーマンスを作り上げたことに、大変驚き圧倒されました。今私たちはコロナ禍で大きな問題に直面していますよね。それはお互いに離れ離れであるということです。隔離されている状態で、アーティストとしてどのように作品創りをしていけばいいのか。VRのダンスパフォーマンスがあると聞いた時、一体どうやってやるんだろう?と思いましたが、皆様はVRの世界と現実の世界を見事に調和させていましたね。あなた自身の物語をVR,実写映像を通して語りながら。離れ離れになっている環境の中で、あなた達は新しい創造の世界を創り出しました。そして私達はその美しい作品を通して繋がる事が出来たのです。」

質疑応答では、

  • VR上で空間を共有することができたか、難しかったか
  • オンラインのコミュニケーションで、自分の思いを伝えるために工夫した、または変えた部分はあるか
  • 音楽を作るときに困ったことなどはあったか
  • 映像作品の編集にあたって、メンバーの共通点を考えたり気づいたことがあったか
  • オンライン交流だから参加しやすかったという人はいるか。次は対面で会いたいか
  • まだお互い知り合って浅いなかで、リーダーとして大変なことはあったか

など、多くの質問をいただき、それぞれ参加者が答えました。

各チームの作品

エメラリストの作品
ネオンブルーさくらんぼの作品
マルチタレント~プールサイドでおにぎりを~の作品

サポーターとしての関わり

これまでのオンライン合宿参加者の3人がサポーターとして関わってくれました。
「自分が参加したときに全然積極的に交流できなかったから、次はサポーターとして参加して頑張りたい」「参加した経験を活かして次の参加者の役に立ちたい」「自分をレベルアップさせたい」など様々な理由でサポーターの役割を引き受けてくれています。
参加者として参加していた時と、サポーターとして参加した今回では、交流の様子やかかわり方が変わっている様子が見受けられ、1回1回の経験を積んでいることを感じました。

参加者の声

一番楽しかったこと

  • VRを通して隣にいるかのようにみんなと会話できたこと。
  • VRでの撮影。みんなでお絵描きしたり追いかけっこしたりして、作品を作りながらぐんと距離が近くなった。

一番嬉しかったこと

  • VRの使用、劇のダンスを考えるなど今までにやったことがないことに挑戦することができ、新たなスキルを身につけたこと。
  • 発表の日に、色々な人から感想を貰ったり、褒めてもらったりしたこと。自分の作ったものを知らない人に見てもらうという経験はあまりなくて、新鮮だった。
  • 動画がハイクオリティーで完成させられたこと。

一番難しかったこと

  • メンバーとの連絡
  • 今まで経験がない状態で編集という役割に挑戦したので、やり方を覚えていくのが難しかった。どのように写真を見せるかを考えるのも大変だった。
  • みんなが本当はどう思っているのか、本当に同意しているのか、少し短かった期間中で自分の意見をまとめられたのか、無理をしていないかという、確認が難しかった。
  • 期間が限られていた為、少ない時間で多くの課題をこなす必要があった。

一番困ったこと

  • 各自で素材を用意しなければいけないときに、みんな部活や学校などで忙しくなかなか素材が集まらず、編集に取り掛かることができなかった。
  • 私は学校でもSlackを使っているので、すぐ確認するくせがついている方だと思っていたが、それもあってか、連絡やそれに対する確認が遅い人がいる時に少し困った
  • Wi-Fiの問題で接続に時間がかかってしまったこと

一番いやだったこと

  • ゴーグルをずっと着けているととても疲れること。最初はすぐ酔ってしまったり、慣れてからでもかなり顔の筋肉が痛くなった。
  • ダンスが下手なので、何度練習しても上手く踊れず提出するのが嫌だった(笑)

この合宿でどんな力が伸びたと思うか

  • 人のことを考えながら動く力
  • 今まで話し合いなどで消極的だったけれどより良いものを作ろうとする向上心と共に自分の意見を積極的に伝えることができるようになったこと。
  • VRや動画の編集など新たなスキルを伸ばせた
  • 1人で頑張っても何も進まないから、みんなに意見を求めたり協力してもらったりして作品をより良いものにしていくこと。
  • 皆に文面で連絡する時、出来るだけ、怒ってはないんだよ、等という意思表示をするために絵文字をつけたり伸ばし棒をつけたり、私だったらどう受け取るかなと相手の気持ちを出来るだけ考えて連絡をとったこと。まめに、みんなにどう思う?理解出来た?と尋ねたり、相手のことをより考えて接せたこと。
  • 編集スキルが身についた
  • 頭のなかの構想を音楽に出せる力

合宿参加時の目標はなんだったか、どれくらい達成できたか

  • たくさんの人と話すこと。チームのメンバーとしか話せなかったが、作品を見て他の人たちの考えていることや性格が分かった。
  • 自分の個性を見つけて、新しいことに挑戦したかった。自分の特別な部分が少し見えたので達成できたと思う。
  • 学校の演劇部の変革のヒントにしたい、という目標だった。合宿を終えて、自分の中の「表現」に対する意識が大きく変わり、よりフレキシブルに接することができるようになったし、挑戦することへの抵抗が少なくなったように感じる。今はまだ部活が止められてるけど、今だからこそできる活動を探そう、と前向きに考えられる足がかりになった。目標達成!

日本各地の高校生と知りあって、感じたこと、刺激を受けたことについて教えてください

  • 自分が考えたこともないことを、考えている人がいるということ
  • 本当にたくさんの人がいて、でもそれぞれが他人を理解しようとしていたことが伝わって嬉しかった。学校内よりも、自分の意思で参加した人が多いと思うので、良い関係が築けていたと思う。

アンケートの回答以外に、
本名でなく、もう一つの自分の名前として大事にしているニックネームで呼んでもらえてとても嬉しかった。ニックネームで呼び合うというのはとても大事なことだと思う。今後の合宿でもぜひ続けてほしい。 との声ももらいました。

見学者の声

見学してくださった多くの方から、想像以上の作品の出来に感心するとともに、オンラインという壁を乗り越えた参加者の姿がよかったとの声をいただきました。
以下、抜粋してご紹介します。

高校生の世界観、感性に触れられてよかったです。演劇というと非言語的な表現が得意な子が多いという印象を持っていましたが、1人ひとり自分の意見を発言出来て、トータルで表現力があってどれも素晴らしい。

高校生たちの水々しい感性が作品の中で表現されていて、とても感動しました。短い時間の中でここまで創り上げられたこと、素晴らしいと思います!オンラインでできることの可能性の拡がりをみなさんの作品を見させていただいて感じました。「I am from」の一人ひとりの視点から、一人ひとりが体験している日常の小さなことそれ自体が、とってもオリジナリティにあふれていることに気づかされました。

すばらしかったです。5日間の合宿と個人作業で作られた作品であること、また、必ずしも担当作業に関する知識や経験値が十分にあるわけではない人もいる中で作られた作品であることを聞いて、本当に驚きました。アバターのデザインや I am fromなどでの個々人の自己表現もとても興味深かったのですが、作品として人に見てもらえる状態まで協力しあいながら責任をもって完成させたという大人でも難しいことを実践されたことに感動しました。

特に「I am from」がよかったとの声が多かったです。また、感動した、素晴らしかった等のお言葉や、今後も続けてほしいというプログラムに対する励ましのメッセージも多くいただきました。

今後に向けて

VR機器に慣れない参加者へのサポートやケアをより手厚くすること等、今回初めて導入したVR機器使用についてのサポートを再度検討して次回につなげていきたいと思います。

(事業担当:長江春子、宮川咲)

事業データ

主催

公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)

期間

2021年3月21日(日)、30日(火)、31日(水)、4月3日(土)、4日(日)、11日(日)

場所

各自の場所からオンラインで参加

参加者

日本各地(北海道、東京、神奈川、静岡、大阪、岡山、鹿児島、沖縄)に住む高校生16名(アメリカ、台湾、中国、日本、マレーシアにつながりをもつ)

ファシリテーター

柏木俊彦(演出家・俳優)
星音(バーチャルユーチューバー)
田畑真希(振付家・ダンサー)
森永明日夏(舞台俳優・ティーチングアーティスト、ファシリテーター)
山泉貴弘(映像ディレクター)

サポーター

椎名銀平(オンライン第1回参加者、第2回サポーター)
西山紗和(オンライン第1回参加者、第2回サポーター)
鷲澤凜樺(オンライン第2回参加者)

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