EVENT REPORTS実施報告

「【多文化×芸術】 TA 研修 in 広島」を実施しました

「【多文化×芸術】 TA 研修 in 広島」を実施しました

2023.09.20

対象
アーティスト
参加費
無料
期日
2023年7月26日(水)、27日(木)
TJFは、2023年7月26日(水)、27日(木)の日程で、はじめて「多文化×芸術」TA研修を実施しました。TAとはTeaching Artist(ティーチングアーティスト)の略で、一般的に教育活動に携わるアーティストを指します。「多文化×芸術」TA 研修はTJFの多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」(PCAMP)に長年ファシリテーターとして関わっているニューヨーク在住の森永明日夏さんが講師を務め、PCAMPの地域版である「ひろしまPCAMP」に多方面から協力している一般社団法人舞台芸術制作室無色透明(広島市)の所属アーティスト5名が参加しました。

同じ広島県出身の森永さんは、舞台俳優であり、アメリカの演劇教育(シアター・エデュケーション)の分野で活躍中のティーチング・アーティスト(TA)です。まず、シアター・エデュケーションとは何かについて、森永さんのレクチャー資料から抜粋してご紹介します。

楽しみながら自分の事、他者の事を探り、知る<アイデンティティの探究>
多様なバックグランドを持つ人達と、アートを通して繋がる<コミュニケーション能力の習得>創作活動をしながら、一つのゴールにむかっていく<チームワーク、アンサンブルの育成>などを演劇を通して学んでいきます。
「演じる技術・知識を学ぶ」というよりは、多様な演劇要素を通し「自分を表現する方法」を学んでいきます。自分の伝えたい事を探り、言葉にし、表現する。バックグランドの違う人達の意見に耳をかたむけ、チームワークを構築していく、その表現方法を学んでいく事は、「生きる力」に繋がっていくと思います。
(中略)
シアター・エデュケーション(または他の芸術教育)では、国籍、民族に加え、性別、性的指向、宗教、経済格差、障害の有無、など様々なバックグランドを持つ方々とシアター・ゲームや作品創りを通して:「違う事は楽しい、違う事は素晴らしい。違う事は美しい」と心と体を通して学びます。シアター・エデュケーションでは、ゲームを通して、楽しみながら、一歩ずつ進んでいき、一人一人が持つ文化へ理解を深める一歩、そして気付いたら他者を認める一歩に繋がっていきます。

「多文化×芸術」をコンセプトとするTJFのPCAMPは、森永さんの取り組むシアター・エデュケーションのコンセプトに通じています。それは「演じる技術・知識」を教えることと一線を画しています。PCAMPに関わっていただくアーティストの皆さんには、このコンセプトへの深い理解と高度なファシリテーションスキルが求められていることから、今回のTA研修を企画しました。

研修の目的は、「多文化×芸術」をコンセプトに展開する多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」を広島地域に根付かせ、発展させていくために、多文化に対応できるファシリテーターを育成し、芸術というツールを用いて地域の多文化共生に貢献していく素地を作る、としました。

研修の様子

二日間のTA研修を通して、ファシリテーションにおける最も大切な三つのキーワードについて確認しあいました。それは参加者にとっての「セイフプレイス」(安全安心な場)、「ブレイブプレイス」(勇気をもってチャレンジできる場)、「スカフォルディング」(積み上げていける足場)です。

初日のプログラム

初日のプログラムは、アイスブレイク、プレ・アクティビティ 「9words」、メイン・アクティビティ 「I am from」、レクチャー、フィードバックから構成。一つ一つのアクティビティの間にも短い振返りタイムを挟みながら、コンセプトやキーワードについての理解を深めていき、対話しながらファシリテーションのポイントやコツについて確認していきました。

二日目のプログラム

二日目のプログラムは、ウォームアップのシアター・ゲーム、メイン・アクティビティ「I am from」の実践と効果について、事前課題のアクティビティのシェアとフィードバック、ワークシートを活用したディスカッション、全体フィードバックから構成。事前課題のアクティビティとは、ワークの開発という狙いもあり、参加者一人ひとりが考えてきたアクティビティを考案者自身にファシリテーションしてもらい、他の参加者は一緒に体験したあと、アクティブティの狙い、効果、課題、改善点について話し合い、実践的に学んでいただくという活動です。最後の全体フィードバックはたっぷり1時間を取り、学んだことを言語化してもらい、疑問・質問にも講師から答えていただきました。

参加者の感想

二日間にわたるTA研修を終え、参加者の皆さんは何を学び、何を感じたか、アンケートで聞きました。回答より抜粋します。

楽しかった点

  • 様々なプログラムを通して、セルフプレイスの構築の流れや、スカフォルディングの概念を実感できました。ファシリテーターはアーティストと違い、成果物としての作品のクオリティを求めるのではなく、参加者がのびのびと、自由に交流ができる空間を用意する役割なのだと感じました。
  • ワーク後の振り返りが直後にできてとても有意義だった。自分で言語化することもですが、他メンバーが言語化している内容を聞くのも大変興味深かったです。
  • 色々話し合い、試し合い、考察しながらできた事
  • ワークの開発
  • まず、ファシリテーターのためのWSを受けたことがなかったので、大変勉強になりました。そしてファシリテーターの視点でシアター・ゲームをしながら少しずつ積み上がっていく感覚を体験できたことがとても楽しかったです。

難しかった点

  • 講師の説明は非常にわかりやすく、またワークを通じての説明だったので、身体で理解することができました。
  • フラットな目線を持つこと。メンバーをよく知っていることでうまく進むこともたくさんありましたが、反対に自分が相手のことを「こういう人」だと思い込んだ目線を持っていないだろうかと疑った。なるべく偏った目線を持たないようにしたかったが、実践できていたかどうかは自信がない
  • 見知ったメンバーのみだったので、知らない人や新規の人をシミュレーションする事
  • ワークの進行、言葉の掛け方
  • 内容というよりも、講師の立ち回りはとても勉強になったのですが、私自身に落とし込んだ時にどうやったら同じように導いていけるのかは今後の課題だなと感じました。

参加前と参加後で、自身に何か変化はありましたか?

  • ファシリテーターの役割について、理解が深まりました。これまで私は、ファシリテーターとアーティストの分別が曖昧で、参加者に何かを求めるような立ち振る舞いをしていたのだと思います。今回の研修を受け、今後ファシリテーターとして活動するときは、安心、挑戦ができる「空間づくり」をするよう心がけようと思うようになりました。
  • メンバーに自分からよく話しかけるようになったと思います。自分から発信することが少し苦手なので、そのバリアが少しほぐれた気持ちです。
  • 教えるという形ではなく、時間を一緒に積み上げて創るというWS自分でやってみたいと思いました。
  • 毎回不安からスタートしましたが、時間が立つにつれその場の雰囲気に順応する大切さを学びました。
  • まず、海外ルーツを持つ人への関心が高まりました。積極的にコミュニケーションを取っていきたいと感じています。 また、人の変化に敏感になるように意識するようになりました。難しそうだな、とか、何かシェアしたいことがあるのかな?とか、そういうことにアンテナをはれるようになったと思います。

その他の感想・意見・質問

  • 研修を受けたメンバーの中で、セルフプレイス、ブレイズプレイス、スカフォルディングが共通言語となるのは嬉しかったです。どんな空間をつくるべきか、メンバーが共通認識できるので、これらの言葉は積極的に広島での活動で使っていきたいと思いました。上の回答にも書きましたが、やればやるほど課題が見つかる状態で、ファシリテーターの奥深さを実感しています。 来年また機会があれば、今度はファシリテーターの立場から、参加者にアプローチする訓練というか、そういう場合のテクニックを学びたいです。今回の参加メンバーは創作活動には慣れていたのですが、創作の経験のない参加者に対し、どのように創作の手伝いをすればよいのか、学びたいと考えています。

今後の展望

TJFは、「ひろしまPCAMP」をはじめ、「多文化×芸術」をコンセプトとするPCAMPを各地域で開催し、地域の多文化共生を担う青少年の育成に寄与していきます。そのためにも多文化に対応できるファシリテーター、TAの育成を重視し、今後も不定期にTA研修を企画・実施していこうと考えています。

(担当:長江春子)

 

 

 

事業データ

主催

公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)

共催

一般社団法人舞台芸術制作室 無色透明

プログラム企画

森永明日夏氏(俳優、ティーチングアーティスト)、柏木俊彦氏(演出家、俳優)、TJF

期日

2023年7月26日(水)、7月27日(木)
※いずれも15:00~21:00

会場

広島市中央公民館

参加者

一般社団法人舞台芸術制作室無色透明の所属アーティスト5名

ファシリテーター

森永明日夏(俳優、ティーチングアーティスト)

内容

「ひろしまPCAMP」でもメインプログラムとして取り入れている、アメリカの多文化演劇教育プログラム「I am from」の知見や経験に基づき、ファシリテーターの定義、多文化に対応できるファシリテーターの資質やマインドセット、スキル等について学ぶ。レクチャー、作品作り体験、ファシリテート演習、振返り等含む。

参加費

無料

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