インド洋に浮かぶレユニオン島出身、ハゲン・タンカンさんの「んじゃめな!」

  • 記事更新日:

┌[募集]───────
●【参加者募集】日本語教育における「外国語学習のめやす」研修会〔10/29(土)、仙台〕
http://web.mgu.ac.jp/jl/event/2086.html?_ga=1.51698030.615435261.1468570763

●【参加者募集】當作靖彦カリフォルニア大学サンディエゴ校教授のレクチャー「評価のパラダイムシフト」・ワークショップ「パフォーマンス評価、オーセンティック評価」〔11/26(土) 、札幌〕
https://www.tjf.or.jp/jp/information/2016/inf2016_04.html
└─────────


■〓■〓■〓■〓■〓■〓■

 わやわや 2016年9月7日

■〓■〓■〓■〓■〓■〓■


◆◆─────────
◆◆ TJFからみなさまへのお願い
───────────

TJFの活動に対しご理解、ご協力いただきありがとうございます。
私たちの活動は皆さまの寄付に支えられています。

TJFは広く一般から支持されているかどうかをはかるパブリックサポートテスト(PST)をクリアすることをめざしています。そのためには、「年間100名以上」の方から、それぞれ「3,000円以上」の寄付をいただくことが求められています。

PSTの要件が満たされれば、引き続き個人寄付者の方も節税上のメリットが大きい税額控除がうけられるようになります。

さまざまな文化やことばとの「であい、つながる」をめざすTJFへの応援をよろしくお願いします。

▼サポートのお願い
https://www.tjf.or.jp/jp/kihu.html



◆◆─────────
◆◆ んじゃめな!
───────────

今年3月に、パリ日本文化会館主催の日本語スピーチコンクールで最優秀賞を受賞したハゲン・タンカンさん。そのときの賞品、パリ東京間の航空券で7月に初めて来日しました。

約1ヵ月半かけて北海道から鹿児島までを訪れ、各地で自分の故郷、レユニオン島の文化を紹介しました。次はレユニオンの人に日本を知ってもらいたいと語るカンタンさん。名づけて「レユ日本~つなぐ」プロジェクト。そんなカンタンさんの「んじゃめな!」。

*...*...*...*...*...*...*...*
レユニオンと日本をつなぐ、「レユ日本:REUNI(H)ON」
*...*...*...*...*...*...*...*

◎レユニオン島って知ってる?
日本に行くことが決まった当初は、観光旅行を考えていました。でも、いろんな人に自分の故郷、レユニオン島のことを話すと、「え? どこ?」と言う人がほとんど。それなら、レユニオン島のことを紹介しようと考えたんです。そして、反対に、日本のあちこちに行って、マスコミではあまり取り上げない日本の姿をレユニオンの人たちに紹介しようと思いました。

◎レユニオンのクレオール語と文化
レユニオン島は、インド洋マダガスカル近くに浮かぶ島で、フランスの海外県、海外地域圏です。私たちのクレオール語のベースはフランス語です。フランス語にいろいろな言語が入ってきて成立しました。かつて近くのモーリシャスのクレオール語はレユニオンのクレオール語ととても似ていたのですが、宗主国がかわったり、テレビが普及したりして、今では全く違うものになりました。レユニオンでも、私が幼かったときと比べると、どんどんフランス語に近くなってきています。

レユニオンの料理は、アフリカや中国、インド、ヨーロッパの影響を受けています。例えば、チキンカレーはインドから入ってきましたが、使うスパイスの種類はインドよりずっと少ないです。レユニオンではウコンとショウガとにんにくしか使いません。中国のフライドライス(炒飯)やシュウマイもよく食べます。いろいろな影響を受けて発達したので、どこにもない料理ともいえるし、逆にどこにでも見られる料理ともいえますね。

◎出身って何?
どこの出身かと聞かれて、「フランスです」と答えると、「フランスっぽくない。どこ系?」とさらに聞かれることがあります。でも、答えるのは難しいですね。私の父はアフリカとインドと中国、母はフランスとアフリカとマダガスカルも入ってるかな? みんないろんなところから来て、混ざり合っているので、どこ出身かということは意味がないんです。この質問自体がレユニオンでは成り立ちません。

◎日本語との出会い
幼いころから「セーラームーン」や「ドラゴンボール」を観ていました。高校生のときにフランス語の吹き替えではなく日本語版を初めて観ました。「犬夜叉」です。そのとき思ったのは、「えっ!? このことば何? 気持ち悪い」。

その後、「NARUTO」に感動したのですが、フランス語の吹き替えが最後までなくて、日本語版を観るようになりました。そうするうちに日本語が好きになったんです。子どものころ観た「セーラームーン」を改めて日本語版で観たり、ほかにも「聖闘士星矢」「ふしぎ遊戯」「ラブ☆コン」などたくさんのアニメを日本語版で観ました。

大学での専攻は英語とドイツでしたが、1年生のときに土曜日の日本語クラスをとりました。一日4時間、半年間勉強しました。でも、その後続けることもなく、平仮名も忘れてしまっていました。

◎日本語でコミュニケーションをとりたい
昨年、西オーストラリアにフランス語アシスタントで赴任したとき、いろいろな言語のアドバイザーのプレゼンテーションを観る機会がありました。

日本語アドバイザーの藤光由子先生のプレゼン「名前って何?」に感動して、日本の人たちと日本語でコミュニケーションをとりたいと思って、また日本語の勉強を始めたんです。教科書やアニメで独学しました。アニメは何回も止めては、表現や漢字を覚えました。そして、1年後に、パリ日本文化会館のスピーチコンクールのことを知って、挑戦したんです。

今回の旅では、本当にたくさんの人たちに出会い、レユニオンのことを紹介する機会もありました。日本で見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことを、パリのレユニオンオフィスで発表したいと思っています。そして、日本とレユニオンをつないでいきたい。そうすれば、人の行き来がもっと簡単になると思うのです。



◆◆─────────
◆◆ スタッフのつぶやき
───────────

東京でタクシーに乗ると、時どき、わたしの出身地、鹿児島のイントネーションで話す運転手さんに出会うことがあります。たまらず、「鹿児島出身ですかあ」と鹿児島イントネーション*で聞いてしまいます。

*ちなみに、「鹿児島出身ですかあ」を、わたしの声の高さで、ざっくりドレミ音階で表すと、「ララレ(高)ソ♭  ソッ ラ(高)ー  ソミ ソミーーー?」という感じです。実際にはドレミ音階にはぴったりはまりませんし、小刻みなうねりが入ります。

そうすると、「ですよ、ですよー(「ソミファ、ソミファミーー」)」あるいは「じゃっですよー(「ラッ ソミファーー」)と答えてくださって、そこから鹿児島弁トークが炸裂します。

先日、1年くらい前に出会った運転手さんの車に、偶然乗り合わせました。
「東京暮らしが長いから立派な標準語を話すでしょー」(→カンペキすぎる鹿児島イントネーション)と明るく話す運転手さんに、最初は気づかなかったのですが、なぜ東京で運転手をしているかという話になって「あ、このお話は前にもうかがった!」と思い出しました。

運転手さんは鹿児島で仕事をしていたのですが、息子さん二人を県外の大学、大学院に行かせるために、稼ぎのいい東京に単身出てきたそうです。息子さん二人の下宿代に理系の学費と、お金がものすごくかかったとのこと。

いまは、おひとりは研究者、もうおひとりは聞けば誰でも知っている、理系の人たちが憧れるような機関のスタッフです。「忙しくてあまり会えんけど、息子がいつかテレビに映って、ここまで来れたのはお父さんのおかげですって言ってくれたらいいなあと思ってるのよー。ウハハ〜〜」

ご自身も東京の大学を出たそうですが、お母さんおひとりでお子さん3人を育て、全員を大学に行かせたんだそうです。明治から昭和を鹿児島の田舎町で生きたけれど、学問が好きな進歩的なお母さんだったとおっしゃっていました。

「おふくろが死んだときには借金しか残ってなかったよー。(3人とも大学に行かせているから)それはそうだろうって思いましたがよー。ハッハ〜〜」

ここには書かなかったことも含めて、話し手によっては「聞くも涙、語るも......」調になってもおかしくないストーリーでしたが、明るくカラカラとお話される運転手さんの力強い「陽」のパワーに、わたしの日々のモヤモヤまですっかり吹き飛ばされて、サバサバした気持ちで車を降りました。(室中)



===〔お役立ち情報〕=====

他団体が主催する、参加者募集中のイベントをご紹介します。
詳細は、各団体にお問い合わせください。

●第56回グローバル化社会の教育研究会「帰国生の"学び"のために―WISCなどの発達検査、具体的な相談例・指導例など」〔9/23(金)、聖学院中学校高等学校〕
http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/dai-56.htm

●日韓交流おまつり2016 in Tokyo 開催!〔9/24(土)~25(日)、日比谷公園〕
http://www.nikkan-omatsuri.jp/index.html

●ニュージーランドの日本語教育がわかる『Creating New Synergies―Approaches of Tertiary Japanese Programmes in New Zealand』刊行!
http://masseypress.ac.nz/books/all/all/creating-new-synergies

●中国帰国者支援・交流センター主催「中国残留邦人等への理解を深める集いin千葉―あなたの隣にいる『帰国者』のこと、知っていますか?」 参加者募集(中国語学習者・教師)〔10/15(土)〕
http://www.sien-center.or.jp/


─────────────
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━
◆発行元:公益財団法人 国際文化フォーラム
◆発行責任者:水口景子
◆編集:千葉美由紀、森亮介、沈炫旼
◆お問い合わせはこちら
メール: wayawaya@tjf.or.jp
━━━━━━━━━━━━━
Copyright(c) The Japan Forum