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TJF、公益財団法人富山市民文化事業団(オーバード・ホール)、富山市、富山市立中央児童館の共同主催で、5月25日(日)14:00~16:00、富山市立中央児童館にて「多文化×芸術」ワークショップを行いました。メインファシリテーターは東京在住で演出家・舞台俳優の柏木俊彦さん、サブファシリテーターは富山在住で舞台俳優・専門学校教員の長谷川万葉さんでした。
参加者
参加者は児童館を利用する子どもたち8名(小学6年生2名、中学生2名、高校生4名)、高野館長、児童館でアルバイト中の大学生1名の計10名でした。また、オーバード・ホールの若手スタッフ1名も体験に加わりました。

プログラム
ウォーミングアップとアイスブレイク
「1分間で全員とあいさつをする」ことからワークショップがスタート。「こんにちは!」と挨拶を交わし、名札に書かれたニックネームを紹介し合って、知り合うための第一歩を踏み出します。「1分間」という制限と「全員」というノルマによって、ゲーム性が高まり、場が一気に活気づきました。つづいて「ライン(早並び)ゲーム」。3チームに分かれ、次々と誕生日順、身長順、夕べ寝た時間の早い順、自宅から児童館まで通う時間の長さ順に並び、その速さと正確さを競いました。

そのあと、「フルーツバスケット」ゲームをしました。輪になって床に座り、「〇〇の人」というお題に当てはまる人は立ち上がって空いた席に移動するというおなじみのゲームです。「椅子取りゲーム」という別名を持ちますが、今回は椅子なしでやりました。ラインゲームもフルーツバスケットも、参加している人にまつわる事柄を少しずつ知っていくことを楽しむゲームです。


プレ・アクティビティ
プレ・アクティビティの冒頭ではエアキャッチボールをしました。輪になって立ち、掌に見えないボールを操り、遠くにいる人に投げるというゲームです。ボールの大きさや重さを変えてもいい。床に転がしてもいい。投げ方も受け取り方も自由。イメージを膨らませ、身体の動きを通してそのイメージを共有することで成り立つ遊びです。そのうち、回されるボールは決まった回数で爆発する「爆弾」に設定が変わり、全員でそれを投げ合いながらカウントダウン!爆発が近づくにつれてボールを回すテンポも速くなっていきます。カウント0でボールを受けてしまった人はちゃんと「飛ばされる」瞬間を身体で演じていて、思わず全員ワーッと声を上げるほどの臨場感でした。
つづいて、ペアになって1から3までを順番に言っていく「123ゲーム」をしました。そのうち123のどれか一つの数字をポーズに置き換え、さらに二つの数字、三つの数字をそれぞれポーズに替え、声に出して数えていたゲームが声を出さずに身体の動きだけで数えるゲームに変身。それは音声言語を身体表現に置き換えていくプロセスでもありました。


今度は「ナイフとフォーク」の掛け声に合わせてペアでナイフとフォークの形を身体で作るゲームをしました。どちらがナイフでどちらがフォークを作るのか相談せずに、相手の動きを見て瞬時に自分が作るべき形を判断して動かないといけないので、頭も身体も感度が磨かれていきました。


最後に「5人で飛行機を作ってください」というお題が出された時、言葉からイメージしそのイメージを身体で表現することにすっかり慣れた参加者たちは、5人の身体で立派な飛行機をあっという間に組み立てました。


メイン・アクティビティ
今回の参加者は、昨夏より実施のTJF×オーバード・ホール コラボ企画「とやまPCAMP」の参加者に年齢が近いということもあり、PCAMPプログラムの一部であった「10年後の私」をメイン・アクティビティとして体験してもらいました。

10年後の自分はどうなっていたいか、何をしているのかについて想像してもらい、それを紙に10個書き出します。夢の大きさや実現可能性、周りからどう見られるかは一切考えません。思いつくままに、心の向くままに書き出します。他人と相談せず、見せる必要もなく、自分と向き合う作業です。


10個の夢を書き出したら、自分にとっての重要度の順番を決めて清書し、人に話してもいいと思う夢についてペアでシェアします。そして、もっとも大切な夢を二つ選び、紙に一つずつ大きく書き出します。最後にその2枚の紙を使って「10年後の私」と題する小さなパフォーマンス作品をグループで創って発表しました。


「世界一周旅行」「海外移住したい」「有名歌手」「声優」「デザイナー」「カウンセラー」「47都道府県を旅行してみたい」「児童館の先生」「フリースクール」「子どもと関わる仕事」「美容師」「天気に関わる仕事」「楽器を買う」‥…。参加者たちは10年後の自分を生き生きと発表していました。どの夢も実現するといいなと願わずにはいられませんでした。


振り返り
ワークショップの最後に振り返りをし、参加してみた感想を一言ずつ言ってもらいました。一部を紹介します。
- 自分の夢を言語化できた!
- コミュ力と表現力が上がった!
- 123ゲームでこんがらがったけど、おもしろかった。
- 自分から話しかけるのが苦手だけど、みんなが話しかけてくれた。
- 自分は表現するのが大丈夫だと分かった。
高野館長からは「一体感がありました!みんなの10年後の夢を知ることができて、今日のワークショップに混ぜてもらってラッキーでした」という感想をいただきました。

参加後アンケートから
ワークショップ終了後、参加者の皆さんは改めて感じたこと、気づいたことを文字化してくれました。
「自分から話しかけるのが苦手」という参加者は「最後には元々の友だちだったみたいに話せて良かったです」と書きました。別の参加者は「ワークショップに参加してとても表現することや伝えることが大切なんだなと思いました。みんなと関われて楽しかったし、みんなの10年後のことを知れてよかったです。またみんなに会いたいです。」と書きました。「多文化×芸術」ワークショップは短時間であっても、主体的に関わり、作品創りを通して伝え合うことで、参加者間の信頼関係を形成し、「仲間」づくりの役に立ったと言えましょう。

参加した高校生の一人は「最後の10年後の自分を表現する時には、自分のことを可視化して表現することで、やりたい事を書き出すことが大切だと気付くことが出来ました。」と書いてくれました。「10年後の私」をこの年齢層向けのメイン・アクティビティに選んで正解だったと思える感想でした。夢の言語化、可視化、そして身体を通して表現した経験が、進路やキャリアデザインについて考えようとしている年頃の子どもたちのヒントになれたらと願っています。

「普段経験できないようなことが出来たし、自分から行動することが出来て良かったです。」という感想もありました。この日たまたま児童館を訪れ、ワークショップのチラシを目にして、ぜひ参加したいと飛び込んできた小学6年生も「自分から行動すること」ができたお一人。「私はふだん、ならい事ぐらいしか、他の小学校の人たちとしゃべらないから、このような経験ができて、すっごくよかったです!」とアンケートに書いてくれました。自分から行動を起こすことで確実に世界を広げたと言えます。
ワークショップを終えて
「とやまPCAMP」の現地協力者の仲介で児童館とつながり、オーバード・ホールの担当者が児童館と調整し、高野館長のご尽力により、今回のワークショップが実現しました。これからも「多文化×芸術」というコンセプトに賛同する学校や団体、子どもたちの学び場、居場所などに、このようなコラボ企画をお届けできたらと考えています。そして、もっと表現したい、もっと多様で個性的な仲間を作りたい、と願う中高生年代はぜひ「とやまPCAMP」(2025年8月、富山市、参加者募集情報参照)や「とうきょうPCAMP」(2026年3月、東京都立川市、過去の開催報告参照)にご応募ください。
事業担当:長江春子
事業データ
- 共同主催
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公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)、公益財団法人富山市民文化事業団(オーバード・ホール)、富山市、富山市中央児童館
- 期間
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2025年5月25日 14:00-16:00
- 会場
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富山市中央児童館
- 参加者
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児童館を利用する子どもたち8名(小学6年生2名、中学生2名、高校生4名)、館長、児童館でアルバイト中の大学生1名の計10名
- ファシリテータチーム
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柏木俊彦氏(メインファシリテーター、演出家・舞台俳優)
長谷川万葉氏(サブファシリテーター、舞台俳優・専門学校教員)
- 運営チーム
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長江春子(TJF)
税光華氏(オーバード・ホール)
東ひなた氏(オーバード・ホール)
※参加者の募集と取りまとめは富山市中央児童館