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TJFは公益財団法人富山市民文化事業団(オーバード・ホール)とのコラボ企画として、5月24日(土)と25日(日)の日程で、富山県富山市において「ことばのゲームで友達になろう!」と題するワークショップ(略して「ことば」ワークショップ)を実施しました。「ことば」ワークショップは4月に富山市で実施した「おどる」ワークショップの姉妹編です。両テーマともに、【TJF×オーバード・ホール】コラボ企画の柱である「とやまPCAMP2025」のプレイベントとして実施しました。


「ことば」ワークショップは演劇的アクティビティが中心のプログラムです。演出家・俳優の柏木俊彦氏がメインファシリテーターを務め、舞台俳優・専門学校教員の長谷川万葉氏がサブファシリテーターを担いました。ワークショップは対象別に行いました。
- 5月24日(土) 14:00-16:30 中学生以上から大人までが対象 (ワークショップ1)
- 5月25日(日) 10:00-12:00 小学生が対象 (ワークショップ2)
ここではワークショップ2について報告します。

参加者
ワークショップには子ども9名が参加しました。このうち、アメリカ、中国とつながりを持つ参加者が2名含まれていました。また、小学生を対象に募集しましたが、「お姉ちゃんと一緒に参加したい」という年長さんも1名受け入れました。そして、子どもたちに同伴してきた保護者の方9名がワークショップを見学しました。


プログラム
ウェルカム・ボード
ワークショップ開始までの待機時間、前日に行った中学生以上を対象としたワークショップ1と同じウェルカム・ボードを設置しました。予めホワイトボードに書かれた「富山のおすすめ」「好きな食べ物」「最近はすきなもの」という三つのテーマについて、子どもたちは可愛らしい絵を添えながら自由に表現していました。


ウォーミングアップとアイスブレイク
この回の参加者の年齢層に合うように、身体表現系のアクティビティを中心にプログラムを組みました。しかし、「1分間で全員とあいさつ」という最初のアクティビティのところで、前日のワークショップとは様子が一変。子どもたちは周りの様子を覗いながら、か細い声で挨拶し、もじもじと自己紹介をしていました。

振り付けキャンプソングでウォーミングアップを行ったあとはラインゲーム。ファシリテーターが出したお題に合わせて並ぶというアクティビティです。お題は「誕生日順」「背の高い順」「昨日寝た時間の早い順」「朝起きた早い順」などでした。最初に「誕生日順」で並んでもらったあと、実際の誕生日を聞く「答え合わせ」の時間に年長さんが「忘れた」と答え、一緒に参加したお姉ちゃんが慌てて教えるという微笑ましい一幕がありました。また、見学中の保護者のところに走っていき、自分の就寝や起床の時間を聞いてから並ぶ子どもたちもいて、場を和ませてくれました。

いろいろな並びのお題をこなしていくうちに、子どもたちの動きが徐々に活発になり、声も大きくなり、笑顔が増えて、場が温まっていくのが見守る大人たちの目にも明らかでした。


プレ・アクティビティ
プレ・アクティビティは身体のいろいろな部位を使って表現するものが中心でした。
- 頭、肩、お腹、膝、足に1~5の数字を割り当て、ランダムに数字を言われたら該当部位に手を当てるゲーム。
- 音楽に合わせて歩き、音楽を止めたら止まる、再開したら歩くという「Stop&Go」。
- 音楽が止まったら相手を替えて爪先、肘、頭などをくっつけるペアを作る「Toe to Toe」。
- 交互に数字を言い、徐々に数字をポーズに置き換えていく「123ゲーム」。
ここまで進むと、子どもたちもゲームのルールを完全に呑み込み、無心に楽しむようになっていました。


メイン・アクティビティ
メイン・アクティビティは身体を使って形を作ることがテーマでした。ペアになり、ファシリテーターの掛け声に合わせて瞬時にいろいろな形を作っていきます。「ナイフとフォーク」「ネズミとネコ」「先生と生徒」「警察と泥棒」「花と花瓶」など定番のお題のあと、ファシリテーターはウェルカム・ボードに書かれた富山のおすすめの「白エビ」をお題に出しました。二人で力を合わせ床にいろいろな姿のエビができ上がりました。



次にウェルカム・ボードの「好きな食べ物」に書かれた「カニ」を5人で創るという、よりチャレンジングなお題が出されました。これには子どもたちも真剣そのもの。「誰が頭やる?」「私、ハサミ!」「もっと、あっち」などと声を掛け合いながら、生きのいいカニが2杯できました。その形を覚えてもらって、1チームずつ再現してもらい、別のチームが間近に行って鑑賞してもらいました。

クライマックスは「全員で立山」というお題です。身体で形を作るコツと自信を掴んだ子どもたち。あっという間に、凛々しい姿の立山を浮かび上がらせ、その形を保ったまま床の中央から幕袖にはけていきました。まるで走っている列車の車窓から眺めた景色のようでした。


振り返り
最後に子どもたちと輪になって座りました。ワークショップが始まった時と同じ姿勢でしたが、その顔には2時間前とはまったく違う表情をしていました。
- みんなと楽しく遊べた。
- 仲良くなった!
- 友達がいっぱいできた、また会いたい!
- 2時間あっという間でした。
- いろんなことができた、友だちもできた、また参加したい!

子どもたちは口々に、今、この瞬間の気持ちを話してくれました。そして、床に腹ばいになってアンケートにも記入してくれました。そこには「たのしかった」「なかよくできた」のほかに「特にナイフとフォークがしろかった」と言及した子どもが3人もいて、よほど印象に残ったようです。また「休みじかんにやったおにごっこもたのしかった」という、小学生らしい感想もありました。

ワークショップを終えて
小学生向けの「多文化×芸術」ワークショップは、「ひろしまPCAMP2023」の協力関係者のご要望により、呉市立白岳小学校国際学級の子どもたち対象のワークショップ(2024年6月実施)が初めてで、今回の富山が2回目です。
「とやまPCAMP」の協力者の皆さんから、当該地域の外国系住民のご家庭には日本で生まれ、まだ小学生である子どもが多い、という情報を得ていました。その子どもたちが中高生年代対象のPCAMPに参加できるのはまだ数年先のことであり、今を生きる小学生たちにも交流と表現の場を提供できないか、と富山側共同主催者の提案がありました。
TJFは「多文化×芸術」事業を地域で展開する際、地域の多文化共生のニーズに寄り添うことを大切なモットーとしているため、呉市立白岳小学校での経験を踏まえ、4月の「おどる」ワークショップと今回の「ことば」ワークショップにそれぞれ1回、小学生向けのワークショップも企画・実施することになりました。 ファシリテーターの皆さんからは、小学生相手ならではの難しさがあったとのご指摘があった一方で、その可能性と醍醐味も感じているようでした。
TJFとしては、外国につながる方々を含め、地域の一員として地域と共に生きる多様なバックグラウンドや年齢層が交流と表現を体験できる「多文化×芸術」ワークショップを、今後も各地域のカウンターパートとコラボして企画・実施していきたいと考えています。
事業担当:長江春子
事業データ
- 共同主催
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公益財団法人国際文化フォーラム(TJF)、公益財団法人富山市民文化事業団(オーバード・ホール)
- 期間
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2025年5月25日 10:00-12:00
- 会場
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富山市民芸術創造センター 舞台稽古場
- 参加者
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年長1名、小学生8名(アメリカ、中国とつながりを持つ2名含む)の計9名
- ファシリテータチーム
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柏木俊彦氏(メインファシリテーター、演出家・舞台俳優)
長谷川万葉氏(サブファシリテーター、舞台俳優・専門学校教員)
- 運営チーム
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長江春子(TJF)
税光華氏(オーバード・ホール)
東ひなた氏(オーバード・ホール)