2026年3月8日(日)上智大学で開催された、第14回シンポジウム外国語教育の未来(あす)を拓く ~共感をはぐくむ複言語教育~(主催:上智大学国際言語情報研究所SOLIFIC、企画・運営協力:(一社)日本外国語教育推進機構JACTFL、協力:TJF)の第4部 「多様な外国語を学ぶ高校生の声」 #伝えたい!◯◯語の魅力 #2026」を聴いてきました。
約1時間半のセッションには、スペイン語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語を学ぶ高校生17名と司会役のロシア語を学ぶ2名、計19名の高校生が登場し、ことばの学びに対する自分たちの思いを語りました。
同じことばを学ぶ仲間との協働作業
関東、関西から集まった高校生たちは、シンポジウム当日が初めての顔合わせでした。自分たちがなぜその言語学習に取り組んだのか、その言語を学んでみてよかったことは何か、将来どのようなことを考えているか、多様な外国語を学ぶ意義は何かを同世代の高校生に伝えるプレゼンを準備するために与えられたのは本番前わずか3時間半。言語ごとのグループで準備作業が行われていた教室は熱気にあふれていました。

Здравствуйте(ズドラーストヴィチェ/こんにちは)、меня зовут ○○○.(ミアザブート〇〇/私の名前は〇〇です)。セッションは司会の2人の流暢なロシア語による自己紹介で始まりました。
プレゼンの一番手はスペイン語学習者のグループ。続いて、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語のグループが、自己紹介、なぜその言語を学んだのか、学びの楽しさ、難しさ、将来にどうつなげていきたいかを、学習している言語を交えて発表しました。ロールプレイや寸劇、歌やクイズを交えながらの発表に会場からは大きな拍手が送られました。
私たちはなぜ多様な外国語を学ぶのか
ことばを学ぶきっかけとして複数のグループが挙げたのは「話者の多さ」でした。中国の人口は14憶人、スペイン語話者の数は世界第2位、フランコフォニー(フランス語を共通言語とする、約90の国・地域からなる「フランス語圏の共同体」)は世界で4億人いる実用性のある言語であることなどをデータとともに示しました。
そのことばを話す人に近づきたい、「推し」が話していることを通訳や翻訳なしで理解したいという気持ちも学習をはじめる大きなきっかけとなっていました。多言語を操るYoutuberへの憧れからスペイン語の授業を選択した生徒、推しのK-POPアイドルのコンサートを通訳なしで見たい、推しの会話を字幕なしで理解したいと思い韓国語を学び始めた生徒、グリム童話などを原文で読みたいと思ったことがドイツ語学習のきっかけだと話した生徒がいました。
学習に取り組んだうえで感じた、多様な外国語を学ぶ意義として、フランス語とドイツ語の学習者は「英語学習との相乗効果」を挙げました。「新しい価値観と出会える」「幅広い視野を持つことができる」「偏見をもつ自分を壊すことができる」「世界の人と繋がることができる」など多くの意義があることが、同世代へのメッセージとして発せられました。
「日韓にかかわる仕事がしたい」「翻訳家になりたい」、推しのK-POPアイドルの存在が学びのきっかけであっても、学んでいくプロセスで描かれる将来への道は多様です。パリへの短期留学から、イスラム文化に触れたことが「フランスの多文化社会の複雑な成り立ちや課題を大学で学びたい」という進路につながった生徒もいました。高校時代に多様な言語と出会ったことが、今後の人生に大きな影響を与えていることが伝わってきたセッションでした。

多様な外国語教育の実現に向けて
JACTFLの黒澤理事は、JACTFL設立の目的である「中等教育における多様な外国語教育の実現」に向けてできることから始めるという思いで高校生に自らのことばで、自分が学習している言語の魅力を語ってもらう場を設けたと話します。発表の中に、「新たな言語と出会うことで自分の居場所ができた」という発言があった。あらためて「英語だけでよいのか」という問題を我々大人が考えていかなければならないと思っている、と話して第4部を締めくくりました。

TJFは長年、高等学校における多様な外国語教育をサポートするさまざまな事業に取り組む中で蓄積してきた、情報や人的ネットワークを生かして、今後もより多くの高校生が多様な外国語の学びに取り組む環境づくりをめざしている、JACTFLの活動に協力していきたいと思います。
(担当:水口景子)
※写真・資料提供:JACTFL
事業データ
第14回シンポジウム外国語教育の未来(あす)を拓く ~共感をはぐくむ複言語教育~ 第4部 「多様な外国語を学ぶ高校生の声 #伝えたい!◯◯語の魅力 #2026」
2026年3月8日(日) 16:10-17:30
上智大学 四谷キャンパス
上智大学国際言語情報研究所(SOLIFIC)
(一社)日本外国語教育推進機構(JACTFL)
TJF
