公益財団法人国際文化フォーラム

チキュウノキボウ未来共創事業報告

【開催報告】韓国・徳沼高等学校で「The CONNECT」を実施しました!

2025年8月29日(金)に韓国京畿道(キョンギド)の南楊州市にある徳沼(トクソ)高等学校を訪問し、チキュウノキボウ未来共創事業 学校等訪問型体験プログラムThe CONNECTを開催しました。

初の海外開催となった「The CONNECT」の目的

「The CONNECT」は、事業の広報と、当財団の趣旨への理解と協力を仰ぐことを目的とした学校等訪問型体験プログラムです 。今回は、このプログラムを海外で実施する初めての機会となりました。当日は学園祭期間中にもかかわらず、お昼休み後の50分間、1年生から3年生までの希望者21名を対象に実施しました。使用言語は韓国語です。

他者との違いを受け止め、「想定を超えた未来」を創造する

このワークショップは、7月末に開催した合宿型交流プログラム The QUESTのエッセンスをコンパクトに凝縮して提供したものです。「The QUEST」では、色や写真を使ったワークを通し、相手との違いに気づき、ありのままに受け止め、尊重することの大切さを、活動の内外で5日間かけて実感できるように設計されています 。今回の「The CONNECT」では、特に、参加者一人ひとりの未来像のイメージを融合させることで、想定を超えたユニークな未来像を共創できることに気づいてもらうことをめざしました。

今回の実施校は、合宿型交流プログラム The QUESTに韓国から参加した参加者1名の在籍する高校という縁もあり、ワークショップの開催が決定しました。「The QUEST」参加者をはじめ、過去に地球講座にレポーターとして協力してくれた学生との再会の機会にもなりました。


ワークショップの流れと「共創」のステップ

1. 世界観の共有

ワークショップを始める前に、まず、活動の世界観について、地域から地球規模にまで及ぶ地球大の舞台であることと、人類に限らないプラネタル*な出演者からなることを説明しました。具体的には、CO2が地球を覆い、その濃度が季節に応じて変化していくシミュレーション動画をスクリーンに表示しながら、CO2の過剰排出が地球温暖化の主な原因とされていることや、森や海がCO2吸収の調整役を果たしていることなどを伝えました。


*ディペシュ・チャクラバルティ著『一つの世界、多数の世界ー気候がもたらす視差をめぐって』に、グローバル(global)という用語が、主に人間の活動、経済、政治の繋がりといった社会的な側面を強調するのに対し、プラネタル(planetary)という用語は、気候変動など人間と人間ならざるもの(非人間的自然)を含む地球全体のシステムとしての側面を強調するとある。

韓国ソウルの街並み

2. STEP 1 & 2:未来のイメージを「色」と「ことば」で表現

  • STEP 1 :あなたの願う未来の色は?
    • TJFが作成した126色の色相関図から、「あなたの願う未来の色」を二色選ぶ活動から始めました 。具体的に言語化でない人も、まずは色を選ぶことで未来のイメージを表現することができました。
TJF色相関図
  • STEP 2 :色に名前をつけよう
    • 選んだ色の色名ではなく、色でイメージした自分が希望する未来を表現することばを探して名前をつける活動を行いました。オノマトペをはじめ、形容詞、動詞、名詞など、どのような品詞でも構わないと伝えました。
イメージをことばにする前に色で表現することに取り組む参加者

STEP 3:想定を超えた未来を描く

  • グループ活動に移り、各自が選んだ色の番号と名付けたことばを付箋に書き、二つの中から一つ選んでワークシートの赤いサインペンでマークされた所定の枠に貼りました。 (例1)
例1
  • 隣り合う付箋のことばをつないで付箋に書き、今度は青いサインペンでマークされた枠に貼りました。(例2)
例2
  • 「ひとりで願った未来」が「わたしたちが願った未来」へと変化したこととし、共創された未来のイメージを改めて想像しました。
隣り合う付箋のことばを、新たな付箋でつなぐ参加者の様子

4. STEP 4:未来実現の状況・環境を考える

STEP 3までは個人で感じるままのイメージでしたが、STEP 4からはグループの仲間と対話し考える活動です。共創した未来が実現するために、どのような状況・環境が欠かせないかを、その理由とあわせて仲間と考え、(ハート形の)付箋に書いてワークシートの中心に貼る活動を行いました 。

例3

5. STEP 5:共有する

全体に向けて発表するのではなく、グループに1~2名の説明者を残し、それ以外は席を立って別のグループのワークシートを眺めたり、説明者に質問したりする巡回形式で行いました。

他のグループの様子をみに席をたつ参加者と、対話の内容をつたえるためにグループに残る参加者

参加者の声(一部抜粋)

後日、徳沼高等学校のヤンヒジュン先生より参加者の声を届けてもらいました。

「夢は、過去を省察するだけでなく、未来を想像しながら叶えることが重要だとおもった」

「未来のイメージを色で表現し、その色から連想されることばをつなげる活動が印象的だった」

「普段は思いつかない新しい視点で未来を描くことができた。特に、学校の授業とは異なり、正解があらかじめ決められていないので自分の考えを自由に表現できたおかげで、より興味深く取り組むことができた」


ひとをつなぐ未来の物語としての価値

本ワークショップの価値は、未来をこれまでの経験や知識から「想像」するのではなく、異なる他者が願うイメージを「つなげる」ことで「創造」する点にあります。この共創によって生まれる未来像は、特異でユニークなだけでなく、時には世界をポジティブに変えてしまうかもしれない、わくわくするような物語を参加者の記憶に残し連帯を促します。近年AIの普及により機械も多様な未来の可能性を示すようになりましたが、それらはその場にいるひとたちをつなぐ物語にはなりえません。なぜなら物語が生成される過程を共有できないからです。未来を共創する対話は、結果として紡がれる未来像だけでなく、その過程に関与することで未来に向けて協力する仲間マインドを醸成する物語としての価値があるのです。分断が進む社会の中、私たちは、異なる考え、文化、価値観などを背景とする多様な他者とのつながりを実現する交流を、これからも探求してまいります 。


「The CONNECT」出張開催のご案内 

「The CONNECT」は、ご要望に応じて中学校・高等学校、大学、研究機関、企業などへ出張開催することも可能です。
みなさまの学校や組織で、未来を共創するワークショップを開催してみませんか?

ご関心のある方は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
チキュウノキボウ未来共創事業 お問合せ・ご希望フォーム
https://pro.form-mailer.jp/fms/2a4ea2b9333327
※ご希望に添えない場合もございます。あらかじめご了承ください。 

(事業担当:中野敦、宮川咲)

事業データ

チキュウノキボウ未来共創事業 体験プログラムThe CONNECT

日時

2025年8月29日(金)13:40-14:30

場所

韓国 徳沼高等学校

主催

TJF

参加者

高校生21人(3年生3人、2生12人、1年生6人)