春の足音とともに、はまぐり&あさり料理を

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3月は、はまぐりやあさりの旬が始まるシーズン。特にはまぐりは、ひし餅などとともに、女の子の健やかな成長を願う「ひなまつり」に欠かせない縁起物です。

はまぐりの貝は、他の貝殻では二枚がきちんと合わないことから、桃の節句には、相性のいい人に出会えるよう、将来の良縁を願ってはまぐりのお吸い物をいただく風習があります。はまぐりは、縄文時代の貝塚からも出土され、ひなまつりのほかにも結婚式やお食い初めなどおめでたい席で親しまれてきた、日本人にとって思い入れのある食べものといえそうです。

日本を含む東アジアでは、貝塚が発見されていることからもわかるように、貝は原始時代から重要な食料でした。ところが広く世界を見渡すと、貝は必ずしも重要な食べものと思われていないふしがあります。たとえば英語では、牡蠣やムール貝などにはちゃんと名前がついているのに、二枚貝のはまぐりもあさりもみな「clam」。さらに旧約聖書を聖典にする宗教(たとえばユダヤ教)では、貝は海底を掃除する不浄な生きものだから、食べてはいけないと説かれていたりするのです。

しかしそれでも、海の恩恵を受けてきた国の漁師たちの間では、二枚貝をふんだんに使った料理が親しまれてきました。たとえば、アメリカ・ボストンの「クラムチャウダー」やイタリア・カンパニア州の「アクアパッツァ」、フランス・マルセイユの「ブイヤベース」、ポルトガルの「カタプラーナ」などは、どれももともと漁師料理です。

特に国土の西と南側が大西洋に面したポルトガルは、大航海時代に栄えた海洋国家であり、魚介料理の宝庫。そのあっさりした味わいは日本人好みだと思います。

カタプラーナは専用の鍋を使った料理なのですが、今回はもっとシンプルな材料で簡単に作れるポルトガルの料理「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ(豚とクラムの蒸し焼き)」のレシピをご紹介します。豚肉とクラム(あさり、はまぐりなど)の意外な組み合わせ、それにコリアンダーの葉を使うところが、ポルトガルらしい味わいの一品といえそうです。


カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ ~豚とクラムの蒸し焼きレシピ
【材料】2~3人前
豚肉......角切り 250g
あさり(または小さいはまぐり)......250g(水洗いし、砂を吐かせておく)
たまねぎ......中1個(みじん切り)
にんにく......3かけ(みじん切り)
白ワイン......1カップ
塩......少々
黒こしょう......少々
パプリカ粉......小さじ1
オリーブオイル
月桂樹の葉......1枚
コリアンダー*の葉(みじん切り)......大さじ1程度
イタリアンパセリ (みじん切り)......大さじ1程度
レモン......半個(くし型にカット)
*香菜、パクチーとして店頭に並んでいることもあります。

【作り方】
1. 豚肉に塩、黒こしょう、パプリカ粉をまぶし、ラップをして冷蔵庫で30分以上寝かせる。
2. フライパンにオリーブオイルを熱し、たまねぎ、にんにくのみじん切りを少し色づくまで炒める。
3. 2に1の豚肉を加えて火を通す。
4. 3にあさりを加え、さらに白ワイン、月桂樹の葉を加えてふたをし、強火で熱して貝を開かせる。
5. 4をお皿に盛り、みじん切りにしたコリアンダーの葉とイタリアンパセリをふりかけ、お好みでレモンを絞って、できあがり

〔文・レシピ:青木ゆり子(各国郷土料理研究家・世界の料理情報サイトe-food.jp運営)〕

▼ インターネットラジオ「ごちそうリミックス」
今回紹介した「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ」を作るときのワンポイントアドバイスや各国の貝にまつわる話を繰り広げています。

https://www.tjf.or.jp/gr/

▼ iTunes「ごちそうリミックス」番組ページ
https://itunes.apple.com/jp/podcast/gochisourimikkusu/id1076774250?mt=2