「外国語学習のめやす」を国語に採り入れる 依田幸子さん

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『外国語学習のめやす』は外国語のためだけにあらず。今回の「んじゃめな!」は、国語(現代文)で活用した北海道札幌西陵高校の依田幸子さん。


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◎「外国語学習のめやす」を国語に採り入れる
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5、6年前から、現代文の授業、特に文学作品を扱うときに生徒主体の活動を行っています。というのも、文学の解釈は百人百様であっていいわけで、教師が解説する講義型では答えがひとつになってしまいます。これでは、本当のことばの豊かさは育てられないと思っていたのです。

外国語の授業では、コミュニケーション力の養成という点から、生徒主体の活動を実践することが多いのですが、国語の授業ではその部分がどうも見落とされがちな気がします。でも実際には、母語であってもコミュニケーションがうまくいかないということはよくありますし、授業で教師が一所懸命説明していても生徒の理解とのギャップが大きかったりします。私はロシア語教師でもあるので、活動の良さは身をもって知っていました。そうであれば、同じ言語教育である国語でもやらない手はありません。

高校3年生で、ある程度評定も出てきていて、長文を読む余裕のある時期に、『こころ』や『舞姫』の単元で、グループにわかれて意見交換しながら理解を深め、最後にプレゼンを行うという一連の活動をしました。生徒は卒業後もこのときに出た意見を覚えていて、手応えを感じていました。

2014年に入って『外国語学習のめやす』のことを知りました。学習者主体の活動を入れることや、コミュニケーション力を重視していること、目標を設定してそれに向けて授業を組み立てていくことなど、自分の考えと共通しているところが多くありました。そこで、現代文の授業で自分がやっていることに、この「めやす」を採り入れたらどうなるだろうって思ったんです。

『外国語学習のめやす』で提唱していることすべてを実践するのは難しいのですが、活動をよりよいものにするために活用できると思います。例えば、3×3+3*は活動を計画するときの指針となります。何が欠けているのかを点検することができ、その項目について言及するだけでも生徒には刺激になることがあります。例えば、『舞姫』のときに、「当時のドイツはどういう様子だったのかな?」という投げかけをしたところ、興味をもった生徒が調べて発表してくれたこともあります。

そしてもっとも活用しているのが、「めやす」が推奨しているルーブリック評価です。活動前に生徒に評価基準を示すことで、評価の正当性や透明性も出てくると同時に、生徒もどこをどう改善すればいいのかが明確になってがんばりやすいのです。生徒が成長する姿を見るのは何といっても教師の醍醐味です。

*『外国語学習のめやす』では、学習目標として設定した「総合的コミュニケーション能力」は、3領域(言語領域、文化領域、社会領域)における3能力(「わかる」「できる」「つながる」)から構成されるとし、これらを身につけるためには、さらに3つ(①学習者の関心・意欲・態度、学習スタイル、②既習内容や他教科の内容、③教室外の人・モノ・情報)を連繋させることが必要としている。このキーコンセプトを3領域×3能力+3連繋(スリー・バイ・スリー・プラス・スリー)と呼んでいる。

▼依田幸子さんの授業案はこちら
https://www.tjf.or.jp/meyasu/support/writer/yodasachiko/post-58.php