ひとつのきっかけから広がる世界 根岸諒多さん

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中国の中学生向け日本語教材『好朋友』全5巻が完成した2010年に、神奈川県内の中学生を公募し、7人を「好朋友特使」として大連に派遣しました。それから5年あまり。特使のメンバーのひとり、根岸諒多さんは現在、大学生。昨年秋には、「好朋友」プロジェクト開始10周年記念として、再び根岸さんを大連に派遣しました。どんどん世界が広がっていく根岸さんの「んじゃめな!」。


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◎ひとつのきっかけから広がる世界
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中学3年生のとき、中国の同年齢の子のことを知りたかったのと中華料理に興味があったのとで「好朋友特使」に応募しました。以前、父の仕事の関係でフランスに3週間滞在したときに、ことばは通じないのに、父の友人の子どもと楽しく過ごしたことが強く記憶に残っていて、中国の同世代と交流してみたかったんです。

中学3年生の3月、「好朋友特使」として大連を訪れました。ぼくにとっては初めての中国。飛行機の窓の下に見えてきたのは、自分が想像していたよりもずっときれいな町並みでした。

同世代の子の家にホームビジットしたとき、ベランダから窓にひょっこり顔を出していた猫の写真を撮って、その子に見せました。すると、「あ~」って顔がほころんだんです。ほかにも水族館に大連の中学生といっしょにいったときに、ちょっとつり目のリトルマーメイド、アリエルがいて、いっしょに笑ったりもしました。どちらも感覚は同じなんだなって実感しました。

このときの意思疎通の手段は少しの英語とジェスチャーでしたが、これをきっかけに中国語をやってみようかなという気持ちがわいてきました。

その年の夏、TJF主催のサマキャン(日中高校生サマーキャンプ)に参加しました。10日間、北京で中国語を学び、中国の高校生と交流するプログラムです。サマキャンに参加する前に、桜美林大学内の孔子学院が実施していた中国語春季講座に通ってもいたので、前回よりも中国語が使えます。いちばん印象に残っているのは、中国結びの飾りを何個かまとめ買いして値切ったこと。ひとつ10元だったのを2.5元にまで値切りました。でもあとで、中国の学生にいくらに見えるか聞いたら、「1元かな」といわれ、気が抜けましたけど......。

その後中国語にふれる機会がなかなかなかったのですが、昨年春から大学で初級中国語を履修しています。そして昨年秋、「好朋友」10周年記念で大連を再び訪れました。中国語力はまだまだなのですが、中国語のスピーチや会話を聞いて、知っている単語や話の流れから、話していることを推測できるようになったのは楽しかったです。来年度は中級中国語の授業をとりたいと思っています。

ぼくは第二外国語でフランス語をとっています。フランス語と中国語では全く違うと思っていたのですが、似ている音もあるんです。例えば、フランス語の「u」の音は少し独特で、口を「ウ」の形にしながら「イ」と発音するのですが、これが中国語の「u」とほとんど同じでなんです。「月」を中国語で「yue」、フランス語では「lune」といいますが、この「u」が似ています。気づいたときはおもしろいなと思いました。

ほかにアラビア語もとっています。ことばと文化を知って、メディアで報道されているニュースの見方が変わってきました。テロのことばかりが報道されるのでイスラム圏の人たちのイメージはよくなかったのですが、先生が実際に経験した話やイスラム圏の若者がターバンをおしゃれに巻いていることなどを知って、そのようなイメージはなくなりました。

いろいろな言語を知るのはおもしろいですね。ぼくは(各国の)民話も好きで、特にロシア民話とグリム童話に興味があるので、これからロシア語やドイツ語も学べたらいいなあと思っています。