教学設計
 
第14号 2003/1
概要
ある高校生の目標についての素材文を読み、自分と比較したり、自分の身近な人々の職業について理解を深めたりしたことを、表現する。
目標
情意目標
日本の高校生、有真の写真を見たり、素材文を読んだりすることを通して、有真がどんな目標を持っているか、どうしてその目標を持つようになったのかなどについて理解する。
それをきっかけに生徒の身近な人々の職業についても理解を深める。
有真の生き方や目標や考えていること、今頑張っていることなどと比較しながら、自分自身について考えを深め、表現する。
言動目標
教科書で習った語彙や表現、文型を復習し、定着を図る。
読解力と表現力を高める。
学習文法・文型
・(動詞)ようになる
・~なければならない
・(形容動詞)になる
・~ないで……
・~うえで……
・~し、……
対象学習者
高校1~3年
授業のヒント
用意するもの
事前準備
1. 写真を見せながら問いかけを行う
<発話例>
 
◆写真1 「自宅前で」
教師
「これは柳有真さんです。何歳だと思いますか」
生徒
「18歳です。高校3年生です」
教師
「有真はどこに住んでいると思いますか」
生徒
「大阪に住んでいます」
教師
「大阪はどんなところだと思いますか」
生徒
「日本最大の商業都市です」
◆写真2 「1歳のお祝い」
教師
「何をしているところだと思いますか」
生徒
「1歳のお祝いをしているところです」
教師
「どうして韓国の服を着ていると思いますか」
生徒
「有真のおじいさんは韓国で生まれて、若い頃日本に来ました。お父さんは日本で生まれ育ちました。有真は「在日韓国人3世」です」
◆写真3 「水泳を教える」
教師
「どこでしょうか」
生徒
「プールです」
教師
「何をしていますか」
生徒
「子供たちに水泳を教えています」
◆写真4 「スクールカウンセラーに相談する」
教師
「有真と話している女の人は誰でしょうか」
生徒
「カウンセラーの先生です」
教師
「カウンセラー」はどんな職業だと思いますか」
生徒
「カウンセラーは、相談者の悩みを聞いて、問題の解決を助けます。有真はこの先生を尊敬しています」
教師
「有真はカウンセラーの先生にどんなことを相談していると思いますか」
◆写真5 「予備校に向かう」
教師
「この建物は何だと思いますか」
生徒
「予備校です。予備校は、高校や大学への進学を目指している人が補習を受けるところです」
教師
「何時ごろだと思いますか」
生徒
「夕方です。有真は、学校のあと、ここへ行って勉強します」
2. 生徒に素材文を読ませる
<内容理解・確認のためのタスク>
次の文の内容が正しいかどうかを答えさせる。正しくない場合は、正しい内容は何かを発表させる。
(1)
有真は、将来、スポーツの選手になりたいと思っています。
(2)
有真は、中学1年生の時、初めてスクールカウンセラーの先生と会いました。
(3)
有真は、家でも学校でも「自分の意見を言ってはいけません」と言われて悩みました。
(4)
有真が泣いている時、カウンセラーの先生は理由を聞かないで、つらい気持ちをうけとめてくれました。
(5)
有真は、スポーツをするのが好きです。
(6)
有真は高校を卒業したあと、アメリカの大学で心理学を勉強しようと思っています。
(7)
有真は小学生になってから水泳を始めました。
(8)
カウンセラーの先生は、有真の言い分を聞いてくれたうえで、親の考えを教えてくれます。
(9)
有真は今年も部活を頑張って、APACの試合に出ました。
(10)
有真がカウンセラーになりたいと思うようになったのは、親に勧められたからです。
<内容を深めるためのタスク>
次の質問に答えさせる。
(1)
あなたは親と学校の考えの違いなどに悩んだことはありますか。それはどんなことでしたか。
(2)
この文章を読んで、あなたが有真に共感するのはどんなことですか。
3. 身近な人にインタビューさせる
(1)
なぜその仕事をしようと思ったか
(2)
その仕事に就くためにどんな努力をしたか
(3)
その仕事にどんな意味を見出しているか
について聞き出させ、次の時間に発表させる。

4. グループで話し合わせる
(1)
あなたが尊敬する人は誰ですか。どんなところを尊敬していますか。その人にはいつ、どんなふうに出会いましたか。
(2)
あなたはどんなことをするのが好きですか。どうして好きですか。
(3)
あなたは将来、どんな仕事をしたいと思っていますか。それは(1)や(2)と関係がありますか。関係がある人は、どんなふうに関係がありますか。関係がないと答えた人は、どうしてその仕事をしたいと思うようになりましたか。
5. 作文を書かせる
【授業のヒント】は矢部まゆみ(早稲田大学日本語研究教育センター講師)作成の原案を編集しました。