知多半島から世界に夢を届けたい

京都教育大学

知多半島から世界に夢を届けたい

PEOPLEこの人に取材しました!

【右】佐藤綺乃(あやの)さん(大府・W・桃花役)、【左】角谷(すみや)真理子さん(南知多マリナ 役)

知多娘。

知多娘。は知多半島5市5町を擬人化したキャラクターをもとに活動するアイドル声優ユニットである。コミックス、アルバム発売、アニメーション制作などの各種メディアミックスを始め、イベント出演、ライブ公演、地域貢献など多様な活動を活発に展開している。佐藤綾乃さんは愛知県大府市出身で、愛知県大府市を擬人化したキャラクター、大府・W・桃花役を担当しており、愛知県の声優専門学校を卒業後、知多娘。として活動している。角谷真理子さんは愛知県武豊町出身で、愛知県南知多町を擬人化したキャラクター南知多マリナ役を担当しており、 知多娘。の研究生である牧場☆乙女塾出身で、今は知多娘。として活動している。

アイドルとしての活動の始まり

Q. 綺乃さんが知多娘。になったきっかけは何ですか。

綺乃:私は知多娘。の活動をする前は、声優の専門学校に通っていて、そちらで声のお仕事の勉強をしてました。小学校の頃に、ちょっと体が弱くて、入退院を繰り返していて、その頃、病院にいたときに、『銀魂』というアニメに出会ったんです。それにすごく勇気をもらって、声優という仕事があるんだと知って、声優になりたいと思ったのがきっかけです。今は、もうすっかり元気になりました。『銀魂』は笑いと勇気とたくさんの笑顔をくれた作品だったので、その影響で声優になりたいと思いました。

そして、その後、通っていた愛知県の専門学校に知多娘。のオーディションの話が来たのがきっかけでした。チラシなどではなく、直接知多娘。のスタッフさんが来てくださって、知多娘。とは何かというのを、一からくわしく説明してくださり、それを聞いて「受けよう」と思って、今ここにいます。

その頃の私は、とにかく早くなにか声優のお仕事がしたくて、何でもいいからキャラクターの声をつとめたいという気持ちでいっぱいでした。ちょうどその時に知多娘。のオーディションの話を聞いたんです。そのオーディションでは、知多半島の大府市のキャラクターの募集をしていたので、私は大府市に住んでいるので、大府のキャラクターの担当をできなかったら一生声優になれないんだろうなと思って、受けたのがきっかけですね。

知多娘。のことは、それより前には知っていました。高校生のときに、演劇部に入っていて、演劇部の先輩が知多娘。をやってたんです。その先輩はもう知多娘。を卒業してしまったんですけど、知多娘。という名前だけはそれで聞いたことがありました。でも、本当にどのような活動をしているグループかということは、オーディションを受けるまでは、まったく知らなかったです。

愛知県半田市にある知多娘。の事務所

Q. 真理子さんが知多娘。になったきっかけは何ですか。

真理子:私が知多娘。に入る前は、学校に行けず、家からはほとんど出られず引きこもっていたんです。その時に知多娘。に出会って、知多娘。のステージを見たときに勇気をもらって、知多娘。になってみたいなぁ、と思ったんです。そして、オーディションをやっているというポスターを見たのがきっかけでした。引きこもってるときから、イナズマイレブンのようなアニメは好きだったので、そのころからちょっと声優っていうものに興味はありました。だから、知多娘。に入りたいと思ったのは、どっちかっていうとアイドルになりたかったというより声優になりたかったからです。最初に6期のオーディションに落ちてしまったんですが、その後は7期のオーディションで研究生メンバーになりました。

Q. オーディションに落ちたときはどうしましたか。今の私からどこを直したら合格できるか、悩みましたか。

真理子:落ちた時は、周りに聞いてみました。「私、どこがダメでした?」とか、周りのアドバイスを受けて、なん回も挑戦しました。そして、報われたんだと思います。

綺乃:そうですね。それが報われてますよね、今。

地域アイドルとして活動すること

Q. 他の一般的なアイドル活動と比べて 地域を宣するアイドルとして難しいところと逆にいいところは何ですか

綺乃:他のアイドルと比べて、私たちは知多半島の名前をお借りしているので、知多という名前がついいるからには、地域の印象を悪くしてはいけないし、地域に詳しくなければならないと思っています。だから、地域の魅力はもちろんのこと、私たち自身が地域の印象を悪くしないように、立ち居振る舞いを気をつけたりなどということを意識しています。

例えば、私は大府市を PR しているんですが、大府のことに関しては、誰に聞かれても、なんでも答えられるように、いつも勉強していなければいけないと思っています。実際に大府以外の知多半島の地域をPRする機会もあるので、その地域が大切にしているものや力を入れているものに関しても、詳しくないと知多娘。とは名乗ってはいけないと自分では考えています。

知多娘。の中には、 観光大使になっているメンバーもいます。たとえば、武豊町をPR している武豊乙姫というキャラクターがいるんですが、その声優をしている栗田ももというメンバーは今、武豊町の観光大使としても活動しています。そういう役割をもらっている子もいるので、より知多半島のことに関して詳しくないといけないとは思っています。

間違えたことを皆さんに伝えてしまったらいけないので、何回も人に聞きに行ったり、ネットで調べるときにも書いてあることと違ったことを言わないように、自分の中で解釈するようにしています。でもそれは結構苦手な分野でもあるので、難しいです。

でも、そのように調べていくうちに、知多半島の新しいこと、気付けないところまでたくさん知ることができるので、そこはすごくいいところかなと思っています 。

また、私が活動をしていて感じるのは、 地域というものを大切にしているユニットでもあるので、町の人たちと触れ合う機会もすごくあるということもいいところだと思います。、大府市を PR するために活動をしていくうちに、だんだんと町の人たちからも認識してもらえるようになって、街の人から「頑張ってね」などと、明るい応援の言葉をかけてもらえるようになっているので、それがまた活動の大きな励みになっています 。

私たちは活動し始めて5年ほどなのですが、知多娘。自体の活動は今年で14年目に突入しました。私たちが知多娘。に入るずっと前から先輩たちが頑張ってくれていたおかげで、今、私たちがいるので、その先輩たちが地域の人たちに認められるまでの力もきっとあると思います。私たちもそのようにまた後輩に、力をどんどん受け継いでいきたいと思っています。

Q. 知多半島の宣伝のための色々な勉強が必要だとのことですが、具体的にどんな勉強をしていますか?

綺乃:知多娘。は地域のお祭りなどといった観光のイベンやト地域で開催する地域の観光をPRするイベントに出演させていただくことが多いので、勉強するのは観光中心です。美味しい食べ物や、歴史や、町の文化などについて勉強します。

メンバーに聞くことも多いです、たとえば南知多のことなら、真理子ちゃんが一番詳しいので、南知多のことは私も彼女から聞くことが多いです。一緒に遊びに行ったり、目で見て学ぶこともあります。その地域を知るためには、今日みなさんがインタビューに来てくださったように、目で見て直接話をして学ぶことも大事だと思います。

Q. 今日の衣装はとても素敵ですが、いつもその衣装を着て活動しているんですか。

真理子・綺乃:基本的にはこの衣装はステージや YouTube SNS 撮影の時に着ています。あとは、知多娘。の練習のときや、他の活動の時は私服ですね。なので、イベントがあるときはこの服で出て、イベントがない時は私服で過ごしています。

Q. 今までの知多娘。の活動の中で一番印象にったこと、あるいは、一番地域宣果的だったことについて教えてください。

 真理子:今年の1月~2月にかけて知多半島のバスツアーを行いました。 その時、知多娘。のファンではない方が参加してくださったんですけど、終わった後に私の書いたブログに「また今度地域のことたくさん教えてください」とか、「色々、教えてもらってよかった」など、コメントを書いてくださったのが印象に残っています。また、そうした方々がイベントに参加してくださったりするので、そのようなときに地域のたくさんの方に地域のようすなどを教えられるのはとてもいいことだなと感じました。 

綺乃: 知多娘。に入って、まだ1ヶ月も経たないタイミングで、人生で初めて海外に行ったんですが、本当に大変でした。知多娘。は、知多半島と、こういうキャラクターがミックスして活動していますということをPRするアニメ系のイベントのために台湾に行ったんです。日本ではないところで、パフォーマンスができる機会もめったにないですし、すごくいい経験になりました。 ステージに立ったり、お客さんと話したりするイベントが5日間もあって、知多娘。の活動は凄いなと驚きました。

知多娘。は海外の方にもすごく人気で、 興味を持ってもらえていて、知多娘。のファンの方がたくさんいらっしゃるんです。そういったファンの方たちが声をかけてくれたのがとても面白いと思いました。私は中国語が話せないんですが、言葉が通じなくても、パフォーマンスで伝わるものがあって、 好きになってくれる人がいるんだということを初めて知りました。そこで、初めて海外のファンの方ができました。 その頃には私の認識では、私のことを応援してくれる人が、まだいなかった時だったんですが、台湾での、海外の公演で初めて、「あなたのこと好きです」って言ってくださるファンの方がいて、それにすごく感銘を受けました。それが知多娘。の活動をもっと頑張ろうって思ったきっかけの1つでもあるので、すごく印象に残っています。

Q. そのようなことがきっかけで、綺乃さんはブログの投稿をたくさんするようになったんですね。とてもファン思いな方だと思いました。

綺乃:ファンの人は、とても優しい方々で、とても感謝しています。 みんなもきっとそうだと思いますが、辛い時に頑張れって声をかけてもらえたり、そばにいてもらえたりすることが活動を頑張ろうという力に変わっていきます。

担当キャラクターの声を聞きたい!というリクエストに快く答えて 桃花の声を聞かせてくれる佐藤綺乃さん

Q.担当しているキャラクターと自分の似ているところと違うところは何ですか。

真理子:私の担当しているマリナちゃんというキャラクターと似ているところは豪快なところかな? 私も、キャラクターをもらった時も考えたんですが、全然似ているところがなくて、違うことばかりだと思いました。マリナちゃんはとても世話焼きな、男まさりだけど結構姉貴っぽい感じなんですが、わたしはそうでもありません。

綺乃:え?でもお姉さんっぽいところはあるんじゃない?今の(知多娘。の)メンバーは、私達よりも年下の子が多くて、だから必然的に教えたりする機会がたくさんあるんですけど、真理子は結構率先してやってくれますよ~。

私の担当キャラクターの桃花は、好きなものに一直線なところが私自身ととても似ていると思います。桃花はレスリングがすごく好きで、レスリングのことは何でも知りたがっているし、むしろ何でも私に聞いてっていうぐらい、物知りです。自分からレスリングを学びに行ったり、試合に出たりするような女の子なので、本当に好きなことには一直線。私もアニメが好きで、声のお仕事が大好きで声優にまでなったから、そんなところはとても似ているのかなと思います。あと、違うところは、いろいろと考えたんですけど、違うとこってある?

真理子:桃花の場合はのんちゃん(佐藤綺乃)に結構似ているよね。知多娘。のキャラクターは声優が代変わりしていくんですが、のんちゃんの場合は初代なので、できたばっかりのキャラクターを一番初めに演じてるから、結構キャラクターの設定がのんちゃんに近くなっているところがあると思います。

綺乃: 私は桃花に対してはリンクする部分がたくさんある気がするので、違うところを探すのが結構難しいです。強いて挙げるなら、運動はあんまり好きじゃないです。レスリングのことは桃花がきっかけでいろいろと調べるようにはなりましたが、レスリングの試合に出たいとは思わないです(笑)。

Q.これから知多娘。の活動を通じて、あるいは卒業後に、目標や、目指すところがありますか?

真理子:私は知多娘。をもっと大きな存在にしたいという目標があります。元々私が知多娘。に入ったときは声優になりたいと思ったんことなんですが、最近は本当に声優になりたいのかなって悩んでいます。でも知多娘。は楽しいから知多娘。という活動を続けたいと思ってはいます。この知多娘。という活動は、声優になりたい人たちに、その目標のためにこの場を使ってもらえるというものなので、入ってきてくれた声優志望の人たちが、より力を伸ばせるような場所にしたいです。なので、東京ドームのようなところでライブが出来るようになるまで頑張りたいです。

綺乃: 私も真理子と一緒です。私は知多娘。というグループをもう5年やっているので、いろんなことを見てきているんですが、知多娘。って楽しい部分もあるけど、厳しい部分も沢山あるんです。プロの声優の世界がどういう世界なのかを専門学校に通っていたときよりもより厳しく教えていただいています。

だから私は、知多娘。という場所を通して、この厳しさも学びながらプロになっていく子たちがどんどん出てくるといいなと思います。私自身も声優の仕事が大好きなので、知多娘。以外でも関れることがあれば、やってみたいなという興味はあります。でも、知多娘。という活動の場所はすごく尊くて大切な場所なので、このグループがもっともっといろんな人に知られて、台湾だけじゃなくて、それこそ、皆さんの国である韓国、ウズベキスタンなど、もっといろいろな国にもひろがっていって、いろいろな国の人たちとも交流が持てる場所になったらいいなと思います。また、私は小さい子どもが好きで、私自身もすごく小さい頃から大変で辛い思いもしてきたので、小さい子に笑顔を届けられるグループであるといいなって思います。

Q. この記事を読んでくれる人たちに一言メッセージをお願いします。

綺乃:若い世代の子たちに伝えたいのは、「人生長いんだよ」ということです。人生は本当に長いから、いろんなものを見て、いろんなものを吸収するっていうのは、すごく大事だということです。私も知多娘。で活動していなかったら、出会わなかったことがたくさんあります。私は日本が大好きだから、ひょっとしたら海外にも行かなかったかもしれないし、知多娘。の活動をしていなければこうやってみなさんとも出会えなかったかもしれません。だから、若い子たちには、ひとつひとつの出会いや経験を早いうちに沢山してほしいなと思います。

私もそうですけど、失敗したり、傷ついたりするのは怖いですよね。でも、失敗できるは、今のうちだってすごく思います。みんなも意を決して、 国から日本へ飛び出してきて、今学んでいるわけですよね。それも、すごく財産になると思うし、怖がる前に1歩やってみるっていうことも、すごく必要だと思います。大人になればなるほど、1歩踏み出すのに勇気がいる時もあるので、怖がらずに、1歩踏み出すっていうことも学んでほしいです。そうすれば、より人生の幅が広がると思います。

真理子:私は知多娘。がきっかけで人生が変わりました。知多娘。のオーディションのポスターを見つけた時は、私が自分を変えなきゃって思っていた時でした。多分、きっといろんな人が自分で変わらなきゃって思っていると思います。やりたいことが見つからなくて、悩んでいる人はたくさんいると思うんですけれども、そういう時はまずアンテナを張ってみる、そしたら自然に目に止まることがあると思います。私の場合は、オーディションのポスターが目に止まって、その時にオーディションを受けてみようと思って行動を起こしたから、今こうやって知多娘。として活動できて、 昔よりずっと成長できたと思います。だから、迷ったらとりあえずアンテナを張ってみるといいと思います。

(インタビュー:2022年7月)

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