プログラムの様子

2022年春プログラム(オンライン第5回)の様子

TJFは2017年度より、多様なことばと文化につながりや興味・関心を持つ高校生が、交流しながら協働して作品をつくる「パフォーマンス合宿」を実施しています。

2022年春は、演劇的な要素とVRを活用して交流し作品をつくることを目指し、オンラインで開催しました。
日本各地から集まった13名の参加者と4名のサポーター(合宿の参加経験者)を3チームに分け、6日間交流しながら作品づくりに取り組んでもらい、最終日に公開発表会を行いました。
発表会の見学者からは、「同じレクチャーを聞き、同じテーマで作成しているのに、こんなにも多様な作品ができあがるのか」といった感想がありました。

各チームの作品は以下の動画から!
プログラムの流れ、作品づくりの過程、発表会の様子もあわせてご覧いただけます。

「I am from」でライフストーリーを辿る

子どもの頃の思い出などを辿り、ライフストーリーを探求していく「I am from」のアクティビティを通して、自分を見つめ、過去を見つめ、素材を集めて作品をつくっていきます。

アクティビティの大まかな流れ

①シアターゲーム(自分の言葉、声、身体、想像力、創造力を使う様々なゲーム)を行いながら、マテリアル(想いの断片)を集める 例:子どもの頃好きだったお菓子は? 子どもの頃好きだった遊びは?…リズムに合わせて一人ずつ順番に言っていく

②既定の質問項目(今回は10項目)ごとに自分の答えとなる言葉(単語や短いフレーズ)を書き出す

③単語や短いフレーズだけだったものに肉付けをして、詩のような短い文章にしていく

③単語や短いフレーズだけだったものに肉付けをして、詩のような短い文章にしていく

④各々がつくった文章を持ち寄って、新たなストーリーを紡ぎ、それを動画で表現して、パフォーマンス作品に仕上げる

はじめに、一人ひとりのI am fromを辿っていく過程を通して、自分でも忘れていた、小さい頃好きだったことを当時の情景や人物とともに思い出したり、当時を振り返って新たな気づきを得る人もいました。そのあと、各々のストーリーを持ち寄ってチームのストーリー(脚本)と作品をつくる過程で、チームメイトの思い出を追体験したり、共通点や違いを探したりと、お互いをより深く理解する時間となりました。

作品を作るための様々な役割

参加者は、1人につき1~3つの役割を担いました。

参加者は、1人につき1~3つの役割を担いました。

音楽担当:チームメンバーが声で短いリズムを奏でたものを、スマートフォンやパソコンを使って重ねて曲を作成。作品中のダンスの音楽として活用した
ダンス担当:チームメンバーが考えたそれぞれのポーズをつなぎ合わせて、一つのダンスにした。振り付け、振り付けの解説、ダンス動画編集までを担った
VR担当:チーム作品に必要なVRの空間(ワールド)の選定、ワールドへの入り口(ポータル)の作成ができるように練習し、VRを使った素材づくりをリードした
脚本担当:チームメンバーの「I am from」の詩を、切り出し、つなぎ合わせて一つの脚本を作成。動画やVRでの表現方法もリードした
編集担当:全体の動画編集を主に担当。スマートフォンやパソコンでアプリを使って8-9分の動画を作成した
記録担当:話し合いで出た意見や課題をその場でメモにしてSNSで共有した
リーダー:話し合いの進行、チームのとりまとめ役

複数の役割を掛け持ちした人も、役割によって忙しい時期がそれぞれ違うので、うまく時間配分をして取り組めるように努力していました。

6日間の流れ

日数 時間帯 プログラム内容
1日め 午後 お互いを知り合うためのアイスブレイク、役割説明、プログラム説明
※事前アンケートと1日めの観察を元に、運営側でチーム分けを行い、発表
2日め 午前
午後
チームビルディングのためのアクティビティ
I am fromの導入、各自詩を書いてチームでシェア後、脚本をイメージするための話し合い
宿題1:脚本担当が脚本を書く
宿題2:全員が音楽の声素材とダンスのポーズ素材を作成し提出
3日め 午後 ダンスづくり、脚本のブラッシュアップ&具体化についての話し合い
作品のシーンごとにVRまたはZoomで撮影
宿題1:脚本担当が脚本のブラッシュアップ
宿題2:音楽担当が声素材を使ってダンス音楽を作成し提供
宿題3:ダンス担当がポーズから振り付けたデモ動画を作成し提供
4日め 午前
午後
VRまたはZoomで撮影
宿題1:編集担当が素材をつなげて中間発表用動画作品を作成
宿題2:全員がダンスを覚えて踊ったところを動画撮影し提出
5日め 午前
午後
中間発表(作品を見せ合い、ファシリテーターからフィードバックをもらう)
フィードバックをもとに、チームで作品のブラッシュアップ
宿題1:全員が追加の素材づくりを行い編集担当に提出
宿題2:編集担当が最終発表用の動画作品を仕上げる
6日め 午前
午後
成果発表会(作品上映とアフタートーク)
※一般公開 振り返り、打ち上げ
希望者のみ 時間外、5日間、夜 VR交流会(1回以上の参加を促し、希望者は何度でも参加可能とした)
→VRに慣れるために、希望者が参加できるVR交流会を開催した。多くの参加者にVRに慣れてもらうことができ、チームを超えて交流する時間となった。なかにはVR交流会のすべての回に参加した参加者もいた。VR支援スタッフが参加者の参加回数を得点化し、それに合わせた奨励品(VR内できれいな写真を撮るなど)を用意し、参加を促す工夫をした。

サポーターの関わり方の変更

今回も、過去の合宿に参加したことがある高校生3名、大学生1名が、参加者をサポートする立場で関わってくれました。

これまでの合宿では、各回のサポーター(2-4名)の役割は、その回の参加者の人数や構成のバランスを見て変更し、サポーターチーム内で統一していました。
今回はその方法を変更し、4名のサポーターに選択肢をゆだね、参加者と一緒に作品をつくりたいか、サポーターとしてチームを外からサポートしつつ伴走したいか、決めてもらいました。結果、1名は参加者とともに作品づくりをし、3名はチームサポートに徹しました。サポーターの自主性を尊重し、それぞれの状況にあった関わり方でサポートしてもらうことができました。

その場で感想をいただけた発表会

発表会は70名近くの見学者を得て行いました。
オンラインでの交流や演劇作品づくりに興味のある演劇関係者、教育関係者、参加者の保護者の方、学校の先生、ご友人など、多様な方にご見学いただきました。
今回の発表会では、各チームの作品が発表されたあとのアフタートークの時間を利用し、見学者の方々にZoomのチャットに感想を送ってもらえるよう呼びかけました。どの作品に対してもたくさんの賞賛、励まし、ねぎらいのコメントが寄せられ、作品やアフタートーク及びプログラム内容が見学者に与えたインパクトが即時に、直接的に、参加者に伝わりました。

zoomのチャットでいただいた感想

完成したチーム作品

声で作った音楽、ポーズから作ったダンス、そしてメンバーのライフストーリーを掛け合わせた作品、これらを繋ぎ合わせてチームごとに一つの映像作品にしました。チームメンバー一人ひとりの「好き」を集めた作品、「あの頃」の戸惑いや葛藤を経て成長できたという共通項を見出した作品、みんなの違った「色」が新しい一人の「私」に溶け込んだ作品。思い思いの想像力と創造力を働かせた結果、同じテーマで作りだしたものですが、チームのメンバーが違うことで多様な作品が生まれました。

各チームの完成作品はそのまま記録動画に掲載しています。 以下の動画の「チーム作品」部分をご覧ください。

振り返りシートから見る参加者の声

プログラム終了後、参加者が回答した振り返りシートから、抜粋してご紹介します。

〇この合宿の経験を通して、自分のどんな力が伸びたと思いますか

〇この合宿でいろいろな高校生と知り合って、どんな刺激をうけましたか

〇この合宿の経験を一語で表すと、どんなことばになりますか

fun!
積極性
Evolve  理由:リーダー経験を通して、また音楽担当という自分しかやる人がいないという経験を通して多くのことを学ぶ事ができました。また、多くの事に挑戦する事ができました。自分にとって多く進化できた合宿になったと思います。
好影響

革新
楽  理由:とにかく、最初から最後まで毎回が楽しかったです。チームの話し合いでどんどんアイディアが膨らんでいったとき、脚本を考えているとき、動画が完成した時、ただ雑談を話しているとき、どの瞬間も楽しかったです。
一期一会
未来を考える
協力
出会い
結実
memory
Unity
経験

また、終了後の振り返りの時間には、「コロナ禍で旅行等に行けない中でほかの地域の人と友達になれたことが嬉しかった。また、(オンラインでの交流だから)マスクなしで表情が見えた状態で話せて楽しかった」との声がありました。

アンケートから見る見学者の声

発表会を見てくださった方々から、アンケートのご回答をいただきました。 抜粋してご紹介します。

そのほかにも、スタッフ、ファシリテーター宛に多くの激励の声をいただきました。ありがとうございました。

今後に向けて

パフォーマンス合宿は多文化共生を目指した対面プログラムから出発しましたが、コロナ禍の中でも継続実施ができるようにオンライン化を模索しました。ファシリテーターをお願いしたアーティストの方々と協議を重ね、知恵を出し合った結果、ステージでのライブ発表会から動画作品上映会にゴールを設定しなおし、音楽、美術造形、演劇、ダンスといった芸術分野を統合し映像でまとめるプログラムを開発しました。それが功を奏し、日本国内のみならず、海外の日本語学習者や日本語継承者も参加して交流できるプログラムに発展しました。また、オンライン化してから合計5回の合宿プログラムを実施する中で、Zoom、動画撮影機器、動画や音楽の編集アプリ、Google Drive、Slackなどの活用に加え、VRという新たな表現ツールの導入にもチャレンジできました。
これらのオンライン版合宿の経験と蓄積を今後のプログラム発展に生かしつつ、一度パフォーマンス合宿の原点に戻り、地域に根差した多文化共生プログラムの開発にも取り組むことにしました。その一回目として、広島県の諸団体の共催・協力を得て、8月上旬に対面での多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿 in 広島」(ひろしまPCAMP)を実施します。広島県に在住または県内の高校に通学している多様な高校生(及び高校進学準備中の15~19歳)を対象とします。

詳しくはこちらから!
多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」の地域版「ひろしまPCAMP」実施!
https://www.tjf.or.jp/information/11362/

(事業担当:長江春子、宮川咲)

事業データ

期間

2022年3月5日(土)、3月6日(日)、3月19日(土)、3月20日(日)、3月28日(月)、4月3日(日)

場所

各自の場所からオンライン(zoom使用)で参加

ファシリテーター

柏木俊彦(演出家・俳優)
田畑真希(振付家・ダンサー)
森永明日夏(舞台俳優・ティーチングアーティスト)
山泉貴弘(映像ディレクター)

VR技術支援等担当スタッフ
星音(バーチャルユーチューバー)

サポーター
山岸笑璃(対面交流第1回参加者、対面交流第2回サポーター)
島田唯愛(オンライン3回目参加者)
森田桃 (オンライン3回目参加者)
西春香 (オンライン4回目参加者)
東京、神奈川、静岡、マレーシアからそれぞれ参加。

参加者

日本国内に住む多様な高校生13名(中学3年生1名含む)。青森、東京、神奈川、埼玉、岡山、広島から参加。)


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