プログラムの様子

2021年春プログラム(オンライン第3回)の様子

オンライン第3回のパフォーマンス合宿は、テーマを「演劇×VR」として実施し、全6日間のプログラムに日本国内の16名の高校生が参加しました。

「演劇×VR」にチャレンジ

オンライン第1回、第2回時とはテーマを変え、オンラインで演劇を使って交流するプログラムを企画しました。一緒に演じるには「場の共有」をより体現する必要があると考え、Zoom等のビデオ通話に加え、更に“近くにいるような感覚”で交流できるVR(バーチャルリアリティー)機器の導入を検討しました。

運営スタッフ、ファシリテーターのほとんどがVR機器初心者ということもあり、バーチャル映像を配信している「Vtuber」(VRのYouTuber)をファシリテーターにお迎えし、共に研究しながらプログラムを組み立てました。

VR機器を主催者がレンタルして参加者に発送する必要があることから、今回は国内からの参加者のみに限定しましたが、北海道から沖縄まで広い地域からの参加者がおり、桜の開花状況や気温の違いなど、オンライン画面上で多くの情報が交換され、普段出会えないような人同士での交流が生まれました。

6日間の流れ

前回同様、全6日間、各日は約3.5時間のプログラムを組み立てました。

  プログラム内容 参加者の反応
1日め Zoom上でお互いを知り合うためのアクティビティー 「これからが楽しみ」「もっとみんなのことを知りたい」等のコメント多数
2日め VR上で初めて集まり活動、Zoomでチームの話し合いスタート やらないといけないことが多く心配な様子と、VR上で出会えたことを楽しんでいる様子
3日め チームでの作品作りについての話し合い、それぞれの春の思い出をシェア 段々VRに慣れてきて自由に動けるようになってきた感触
4日め チーム作品撮影、構成について話し合い よい作品を作るために一生懸命アイディアを出し合う
5日め チーム作品追加撮影、VRでのダンス撮影 自分たちでサポートしあい、作品完成に向かっている様子
6日め 発表会、振り返り これまでの大変だったことを振り返り、これから活かしたいことを話す

創造力全開の作品作り

今回の各チームの作品は3部構成。

  1. 自分の思いを詩にして動画にした「I am from」
  2. VR上でチームのダンスを踊った「CMダンス」
  3. VR、写真、動画などを自由に組み合わせた春の物語「フォトストーリー」

「I am from」は、アメリカの演劇教育で自己開示の手段としてよく用いられるもの。小さいころ好きだったお菓子や遊び場、尊敬する家族など、テーマを決めて短い詩を書き、読み上げます。それぞれが好きなことや考えていることが見える動画となりました。

「CMダンス」は、各チームのダンスリーダーが、チームメンバーがそれぞれ提出した“自分のポーズ”をつなげて1つのダンスにしたもの。VR上で踊って作品に組み込むため、VR上で上手く動けるように注意しながら取り組んでいました。特に、VRでは頭や手の動きはできるが、足の動きができず、足のフリは使えないことがダンスを作るのに苦労したチームが多かったようです。

「フォトストーリー」は、それぞれが持ち寄った春の思い出の写真のエピソードをシェアし、それをもとにチームで新たなストーリーを作成したもの。皆の春の思い出をどのように表すか、どんな撮影方法で撮るか、チームでの話し合いには多くの時間を要しました。
同じテーマでも、それぞれチームの色が出た作品となりました。

「やってみたい」を大切にした役割決め

前回の合宿から、チーム内での様々な役割を分担して活動できるように、役割を事前に決めてからチームの話し合いをはじめていました。 今回も、作品の構成が3部に分かれていることから、以下のように役割を分担し、それぞれ中心になって考える人を決めておくことで、スムーズな話し合いや作品作りとなるようにしました。

<役割と分担内容>


戯曲リーダー:フォトストーリーの戯曲(台本)を作成する。

音楽リーダー:チームの作品(主にCMダンス)のイメージにあう3~5分の音楽を作成。家にあるものや楽器を使って演奏して録音するか、アプリで打ち込んで作成。著作権フリーの音楽を探してくるチームもあった。

ダンスリーダー:チームメンバーが考えた自分のオリジナルポーズを組み合わせてひとつのダンスにする。その説明と実演を録画したビデオをシェアし、チーム全員に同じダンスを覚えてもらう。

編集リーダー:フォトストーリーの映像編集に加え、できあがった音楽やダンスを合わせてひとつの動画作品に編集する。

チームリーダー:チームのまとめ役。チームの制作進行、話し合いの司会、スケジュールの確認、困っているメンバーのサポートなど。オンラインで実施した合宿第1回及び第2回の参加経験者が今回のサポーターとなり、各チームのリーダー役として参加。

それぞれが自分の役割を遂行しながら、他のチームメンバーが困っているときにはすぐにサポートし、一緒に作業を進めていました。

成果を披露する発表会

110名近くの見学者を得て行った発表会では、予定していた質疑応答の時間を大幅に延長し、多くの質問、感想をいただきました。

ファシリテーターのひとりである森永明日夏さんがニューヨークで教育演劇活動をされている関係もあり、発表会にはアメリカ在住の演劇界の方々も多く見学に来られ、貴重な感想を寄せてくださいました。抜粋、(明日夏さんのご協力で)和訳してご紹介します。



  • 「みんなのパフォーマンスにびっくりして、本当に圧倒されました。特に際立っていたのが、みんなのコラボレーションです。アート、芸術の世界ではとても大切な事です。チーム同士もお互いに刺激し合いながら作品を作っていったことが、動画から感じられました。ひとりひとりの個性を大切にしながらコラボレーションしている様子に心を打たれました。
    想像力の豊かさが本当に素晴らしかったです。本当にすべてのパフォーマンスが素晴らしく、興味深くて、すべての作品をもっと見てみたいと思いました。ブラボー!!」
  • 「まず5日間でこのパフォーマンスを作り上げたことに、大変驚き圧倒されました。今私たちはコロナ禍で大きな問題に直面していますよね。それはお互いに離れ離れであるということです。隔離されている状態で、アーティストとしてどのように作品創りをしていけばいいのか。VRのダンスパフォーマンスがあると聞いた時、一体どうやってやるんだろう?と思いましたが、皆様はVRの世界と現実の世界を見事に調和させていましたね。あなた自身の物語をVR,実写映像を通して語りながら。離れ離れになっている環境の中で、あなた達は新しい創造の世界を創り出しました。そして私達はその美しい作品を通して繋がる事が出来たのです。」

質疑応答では、

など、多くの質問をいただき、それぞれ参加者が答えました。

各チームの作品

エメラリストの作品
エメラリストの作品
ネオンブルーさくらんぼの作品
ネオンブルーさくらんぼの作品
マルチタレント~プールサイドでおにぎりを~の作品)
マルチタレント~プールサイドでおにぎりを~の作品)

サポーターとしてのかかわり

これまでのオンライン合宿参加者の3人がサポーターとして関わってくれました。
「自分が参加したときに全然積極的に交流できなかったから、次はサポーターとして参加して頑張りたい」「参加した経験を活かして次の参加者の役に立ちたい」「自分をレベルアップさせたい」など様々な理由でサポーターの役割を引き受けてくれています。
参加者として参加していた時と、サポーターとして参加した今回では、交流の様子やかかわり方が変わっている様子が見受けられ、1回1回の経験を積んでいることを感じました。

参加者の声

終了後、以下の質問にアンケート形式で答えてもらいました。抜粋して紹介します。

一番楽しかったこと

一番嬉しかったこと

一番難しかったこと

一番困ったこと

一番いやだったこと

この合宿でどんな力が伸びたと思うか

合宿参加時の目標はなんだったか、どれくらい達成できたか

日本各地の高校生と知りあって、感じたこと、刺激を受けたことについて教えてください


アンケートの回答以外に、
本名でなく、もう一つの自分の名前として大事にしているニックネームで呼んでもらえてとても嬉しかった。ニックネームで呼び合うというのはとても大事なことだと思う。今後の合宿でもぜひ続けてほしい。 との声ももらいました。

見学者の声

見学してくださった多くの方から、想像以上の作品の出来に感心するとともに、オンラインという壁を乗り越えた参加者の姿がよかったとの声をいただきました。
以下、抜粋してご紹介します。


特に「I am from」がよかったとの声が多かったです。また、感動した、素晴らしかった等のお言葉や、今後も続けてほしいというプログラムに対する励ましのメッセージも多くいただきました。

今後に向けて

VR機器に慣れない参加者へのサポートやケアをより手厚くすること等、今回初めて導入したVR機器使用についてのサポートを再度検討して次回につなげていきたいと思います。
2021年度は以下のスケジュールでパフォーマンス合宿を開催予定です。

2021年夏 芸術×多文化 対象:海外で日本語を学ぶ高校生と、日本の多様な高校生
2022年春 VR×演劇 対象:日本の多様な高校生

(事業担当:長江春子、宮川咲)

事業データ

多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」2021年春プログラム(オンライン第3回)

期間

2021年3月21日(日)、30日(火)、31日(水)、4月3日(土)、4日(日)、11日(日)

場所

各自の場所からオンラインで参加

ファシリテーター

柏木俊彦(演出家・俳優)
星音(しおん)(バーチャルユーチューバー)
田畑真希(振付家・ダンサー)
森永明日夏(舞台俳優・ティーチングアーティスト、ファシリテーター)
山泉貴弘(映像ディレクター)

サポーター

椎名銀平(オンライン第1回参加者、第2回サポーター)
西山紗和(オンライン第1回参加者、第2回サポーター)
鷲澤凜樺(オンライン第2回参加者)

参加者

日本に住む多様な高校生(リーダーとして参加したサポーターを含め16名。北海道、東京、神奈川、静岡、大阪、岡山、鹿児島、沖縄から参加)


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