プログラムの様子

2020年秋プログラム(オンライン第2回)の様子

11月15日から12月28日まで、土日を中心に全6日の日程でパフォーマンス合宿をオンラインで開催しました。参加者は日本在住が9名、韓国、中国、マレーシア、イギリスから時差を乗り越えて参加してくれた海外在住の高校生が9名、計18名でした。

夏の実施の改善点を受けて

新型コロナウイルス感染拡大を受け、急遽オンラインでの開催に踏み切り8月に実施した第1回は、ファシリテーターの皆さんと最後まで試行錯誤しながらのチャレンジでした。参加者、見学者の感想から手ごたえを感じたため、経験と改善点を踏まえて第2回の実施を決定しました。
参加者からの作品を作り上げるには時間が足りなかったという声が大きかったことから、実施日数を1日増やし、1回ごとの時間も1時間延ばしました(全6回、各回4時間)。

ディレクター制度の導入

前回と大きくかえた点は、「ディレクター制度」の導入です。このプログラムでは6人からなるチームで身体表現、造形表現、音楽表現を組み合わせて映像作品をつくります。作品をつくるには、チーム内で多くの作業が必要です。どんな作品にするのか、アイディアは全員で出し合い一緒に考えますが、各作業の中心となる「ディレクター」を決めて取り組むことで、作業の分担をわかりやすくし、責任感をもって取り組んでもらうことをめざしました。どの役割にするかは事前に希望をとって決めました。

<役割と分担内容>


美術ディレクター:みんなで話し合ったアイディアをもとに、オリジナルのチームロゴを考えて作成。

音楽ディレクター:チームの作品のイメージにあう3~5分の音楽を作成。家にあるものや楽器を使って演奏して録音するか、アプリで打ち込んで作成。

ダンスディレクター:チームメンバーが考えた自分のオリジナルポーズを組み合わせてひとつのダンス(リレーダンス)にする。その説明と実演を録画したビデオをシェアし、チーム全員に同じダンスを覚えてもらう。

映像ディレクター:各ディレクターが作成したロゴ、音楽、リレーダンスと、一人ひとりが作成した動画を組み合わせて5分程度の作品に編集する。映像と音楽のタイミングをあわせ効果音を入れたり、リレーダンスはコラージュにしたりするなど、全体の流れを考えながら細かな編集作業を行う。作業量が多いため、各チーム2名配置。

プロデューサー:ディレクターの統括、チームのまとめ役。チームの進行、話し合いの司会、スケジュールの確認など。

プロデューサー同士では、言葉や表現の違いがある多様なメンバーで構成されるチーム運営において工夫していることや困ってることを共有し、チームでの話し合いにいかしました。

サポーターとしての関わり

チームを支える役割として、本プログラムのオンライン第1回開催時の参加者に「サポーター」として関わってもらいました。前回は、ファシリテーターやスタッフが担任としてチームに関わっていましたが、今回は同年代のサポーターが入りチームの運営をプロデューサーとともに考え進めていくことで、参加者もより自主的に活動できるのではないかと考えました。
学期中で忙しい中、2名がサポーター役を引き受けてくれました。

6日間の交流

1日目 11月15日

Zoomの画面上で初めて顔を合わせます。まずは、自己紹介の前に、ファシリテーターの田畑真希さん(愛称:まきちゃん)の体をほぐすウォーミングアップ。みんなで足や手を伸ばし、その様子を画面に写すことで、オンラインでのやり取りに慣れていきます。

自己紹介は、お互いの多様なバックグラウンドを最初に知っておくために、事前課題として作成してもらった言語ポートレート(自分に関わることばを体の絵を使って表したもの)をもとに発表してもらいました。一人ひとりの家族とのつながりや生活文化、友だち、趣味、将来の夢までを垣間見ることができました。

次は絵を鑑賞しました。「カナガワビエンナーレ国際児童画展」(主催:神奈川県、あーすぷらざ)の世界の子どもたちが描いた絵を見て感じたことを言葉にして、グループで共有しました。



画像中の絵は、©神奈川県

2日目 11月22日

1日目の宿題の「絵から感じたイメージを音楽にしてみる」で作った音楽をみんなで鑑賞しました。どれもとても豊かなメロディーで、ファシリテーターで舞台音楽家の棚川寛子さん(愛称:たなちゃん)もびっくり! 同じ絵を見てつくっても、色々な違いが出ることを楽しみました。

次は、体で表現することに慣れる活動として、自分のオリジナルのポーズを考えたり、手や顔にペンで書いたり紙を貼ったりして動物などを表現したりしました。体で色々なことを表現できることを体験しました。

3日目 11月28日

チームに分かれての活動がスタートしました。どんなテーマで、どんな映像作品を作るかを相談するために、まずはお互いを知り合う必要があります。好きなものを聞いたり共通点を探したり、2日目の活動で選んだ世界の子どもの絵画からもったイメージを共有したりするなど、さまざまな角度から話をして、みんなが表現したいと思うテーマを納得するまで考えます。
テーマが決まったら、それにあうチーム名、イメージに合う音楽のテンポ、チームのロゴなど、決めることは盛り沢山。限られた時間で一生懸命考えます。

チーム名を考えている様子。口頭だけでなく、紙に書いて全員が分かるように工夫している

4日目 11月29日

チームでの作品作りの話し合いを続けます。
作品の内容、見てくれた人に伝えたいこと、そのために必要なシーン、映像の手法……。皆で考えて決めないといけないことがたくさんあります。それぞれのチームでたくさんの話し合いが起きました。日本語だけでは説明が足りないと思うときには、英語や中国語を使ったり、チーム内で通訳しながら進む話し合いでは、気持ちが通じたことに感動する場面もありました。

5日目 12月12日

これまで重ねてきた話し合いをできるところまで形にして見せ合う中間発表をしました。
3チームそれぞれ進み具合に差があり、ほかのチームから刺激を受け焦りを感じたり、もっと他のチームのようにかっこよくしたい、よりよくするために作業のスピードをあげようと奮起するチームもありました。作品を最終形にするため、細かな部分も満足できるまで話し合ってから、作業を進めました。

6日目 12月28日

発表会!
参加者の学校の先生、教育関係者、多文化共生団体の方、前回参加のOB、OGなど、約40名の方に見学していただくことができました。
オンラインでの発表会を楽しんでもらうため、バーチャルユーチューバーの星音(しおん)さんに進行していただき、作品鑑賞の前後で、見どころと感想をチームごとに一人ずつ発表しました。
会ったことのない人たちと作品を作ることや、画面越しに自分の意見を言って伝わるか不安だったがみんな優しくてよかった、これまで芸術に苦手意識をもっていたが、この合宿で私でもできるんだと自信がついたとの感想があがりました。

サポーターとして関わってくれた椎名銀平さん(愛称:ギンペイ)は、「前回は受け身になりがちで自分から発言することがなかったが、今回サポーターで、受け身では話が回らないということに気づけた」と、自分自身の変化を教えてくれました。

見学者から参加者への質疑応答では、「参加して自分自身に変化があったか」「何パーセントの気持ちを使って参加したか」などの質問がありました。最後にチームに分かれて「打ち上げ」を開催し、これまでの思いを交換して終了しました。

NGC2237チームの作品「花の王子様」

KO♡RUチームの作品「海の希望」
CHEERS with SMILEチームの作品「君ならできる」

進行役のバーチャルユーチューバー星音さん

見学者アンケート

見学してくださった多くの方から、想像以上の作品の出来に感心するとともに、オンラインという壁を乗り越えた参加者の姿がよかったとの声をいただきました。
以下、抜粋してご紹介します。

参加者の学校の先生から

前回の合宿の参加者から

その他の方

参加者アンケート

終了後、以下の質問にアンケート形式で答えてもらいました。抜粋して紹介します。

一番楽しかったこと

外国の高校生と話したこと、様々なバックグラウンドをもつ人たちと出会ったこと、グループでたくさん話し合いをしたこと、徐々に仲良くなっていく過程、映像編集や音楽作りを学んだこと、ダンスや体を使ったこと、日本語や英語を織り交ぜて話したこと、国境を超えて関われていること……など

一番嬉しかったこと

言語の壁があっても話し合えたこと、新しい友だちとアイディアをシェアしたこと、自分の意見が採用されたこと、自分の意見を尊重してくれたこと、友だちができたこと、言葉の練習ができたこと、作品が完成したこと、日本のアニメや文化に興味をもってくれていること、住んでる国も生まれた国も違うのに共通の趣味をもっていること、誰かが困っているときにみんなで協力して全員が理解して笑顔になれたこと……など

一番難しかったこと

初めてインターネットで課題をやること、自分の意見を話したい時どう言えば良いのかを考えたことや話し始めるタイミングを考えたこと、動画編集、音楽作成、最初だれのことも知らなかった時の話し合い、作品のテーマや構成を考えたりアイディアを出すこと、話し合っている時に誰からも意見が出ない時、国によって相槌など表現も違うこと、相手の伝えたいことを読み取ること、言葉がわからないとき……など

一番困ったこと

何かが理解できなかったときにみんなの重荷になっているのではないかと心配したこと、ダンス、試合や試験で忙しかったこと、言葉が伝わらなくて相手が困った顔をしている時に何もできなかった時、作品のテーマをどう表現したらいいか悩んだこと、ネット環境があまりよくなかったこと、伝えたいことが完璧に伝えきれないとき、みんなの話が理解できないとき、期日までに提出できないメンバーがいるとき……など

一番嫌だったこと

試験期間中は全力を尽くせなかったこと、課題の提出期限が短かったこと、時間が長かった、伝えたいことが上手に伝えられないこと……など

この合宿でどんな力が伸びたか

言葉が違っても助けてくれる人がいて一緒になにかをする力、協調性、多様性、映像編集などの技術、みんなと話そうとする気持ち、発想力、言語、あきらめずにやり遂げようと思えること、気配りする力、相手の言いたいことを受け取る力、創造性……など

合宿がはじまる前にたてた目標はどのくらい達成できたか

達成できた、半分くらい達成できた、もっと積極的に参加してもっといろんな言語を使ってみたかった……など

多様な高校生たちと知りあって、感じたこと、刺激を受けたことはなにか

みんなが前向きな表情で積極的に話すこと、ものの見方や捉え方がそれぞれ違うこと、たくさんの言語が話せること、住んでいる国やバックグラウンドは違っても考えていることは同じなんだなと感じたこと、それぞれ文化も個性も違うので作品を作るときにもそれが表れていたこと……など

そのほかにも、

・編集担当として、それぞれの動画を編集して一つのストーリーにできたときはとても嬉しくて、完成度が高いものができて満足している。

・オンラインで、言葉の意味が伝わっているのかわからなくて、最善策を探しても見つけ出せなくてとても苦労したが、その分、みんなの優しさや温かさを知れた。

・オンラインということもありながら、言語の壁を乗り越えて、最初は誰も知らない見ず知らずの人だったのに今はこんなに仲良くなって1つの作品を作ったというのは自分でも本当にすごいことだと思います。個人個人の才能や、能力、想像力は本当に無限で偉大だと刺激を受けました。

・今までグループでの話し合いなどで、あまり自分から意見を言うことが出来なかったのですが、自分からなにか言わないとなにも始まらないということに気づいて、積極的に意見を言ったり、相手の意見に反応したりすることが出来た。
……などの感想をもらいました。

この合宿を友だちや後輩に勧めるかとの質問には、全員が「勧める」と回答しています。理由は、言語の能力があがる、世界の高校生と知り合っていろんな文化を知ることができる、責任感と根気をつけることができる、自分を変えるきっかけになる、ダンスや音楽や映像編集などのスキルも学ぶことができる、創造性を高められる、などでした。

率直に感想を寄せてくれた参加者の声を今後のプログラムに生かしていきます。

今後にむけて

学期中で学校が忙しく課題を提出するのが大変だったとの声には、運営側として開催時期を検討する必要があると強く感じています。参加者の負担が大きくならないよう考慮し、改善点を踏まえたうえで、オンラインでの第3回を日本の春休みの期間を利用して開催します! 
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事業データ

多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」2020年秋プログラム(オンライン第2回)

期間

2020年11月15日(日)、22日(日)、28日(土)、29日(日)、12月12日(土)、28日(月)

場所

各自の場所からオンラインで参加

協力

カナガワビエンナーレ国際児童画展(主催:神奈川県、あーすぷらざ)

ファシリテーター

田畑真希(振付家・ダンサー)
棚川寛子(舞台音楽家)
水内貴英(美術家)
山泉貴弘(映像ディレクター)

サポーター

椎名銀平(オンライン第1回参加者)
西山紗和(オンライン第1回参加者)

参加者

中国(香港、上海、武漢)、イギリス、韓国、マレーシア、日本につながりや滞在経験をもつ多様な高校生18名(日本在住9名、海外在住9名)

発表会配信支援

星音(しおん)(バーチャルユーチューバー)


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