にんじんの故郷・アフガニスタンの炊き込みごはん「パラオ」

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◆◆ おいしい話あります!
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にんじんの故郷・アフガニスタンの炊き込みごはん「パラオ」
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1年をとおして、ふだん何気なく食べているおなじみの野菜「にんじん」ですが、実はにんじんにも旬の季節があって、冬に収穫されたものは、甘みが増して栄養価も高いのだとか......。免疫力の増強に効果があるともいわれるカロテンは、英語のcarrotが語源になっているくらいですから、やっぱり旬のにんじんには特別な効能がありそうです。

さて、そんなにんじんは、いったいどこから来たのでしょう? 原産地は、西アジアのアフガニスタン周辺だといわれます。

アフガニスタン周辺のにんじんは、東西に分かれて各地に伝播しました。現在は細長い東洋系と、太くて短い西洋系の2種類に系統分けされています。日本には、中国を経て室町時代に東洋系にんじんが最初に伝わりました。

しかし栽培が難しく、あまり普及しませんでした。その後、江戸時代に長崎に伝わった西洋系にんじんの国内栽培に成功し、江戸末期には、福島県北部でスルメとにんじんを細切りにして醤油、みりんなどで味付けした「いかにんじん」などといった郷土料理が誕生しています。

原産地のアフガニスタンでは、オレンジ色のほか、白や黄、黒などいろいろな色のにんじんが栽培されています。当地には料理のほか、ジャムやピクルス、ハルワというお菓子など、にんじんを使ったレシピが数多く伝承されています。アフガニスタンでよく食べられている「パラオ」という炊き込みごはんのトッピングにも、カラフルなにんじんが活かされてます。

「パラオ」は以前、日本在住のアフガニスタン人医師ご夫妻に作り方を教えていただきました。彼らが、日本でも手に入りやすい材料で工夫し、また忙しい合間に炊飯器を活用して故郷の味を再現されていたのが印象的でした。ここでそのレシピをご紹介しましょう。

現地ではバスモティ米という長粒米を使うのですが、ここでは、手に入りやすい日本米で代用しながら、バスモティ米特有の香ばしさを補うために煎ったクミンシードを混ぜてみました。日本米では、米粒の形が残りやすい「ミルキークィーン」がおすすめです。

パラオのレシピ
【材料】3~4人前
鶏肉(骨付きもも肉)2~3本
米 2カップ(30分以上、水につけておく)
クミンシード 小さじ1(乾煎りしておく)
たまねぎ中1個(みじん切り)
にんじん 1本(細切り)
干しぶどう 大さじ1以上(お好みで加減。トッピング用にも)
キャノーラ油
塩 大さじ1
ケチャップ 適量(だいたい大さじ1くらい)
水 2カップ


【作り方】
1. にんじんの細切りと干しぶどう、また、たまねぎのみじん切りを、油を引いたフライパンで別々に炒めておく。たまねぎは透き通るくらい、にんじんはしんなりするくらいに炒める。にんじんはあとでトッピング用に大さじ1~2杯分くらい別皿に取っておく。
2. たまねぎのみじん切りのほうにそのまま鶏肉を加えていっしょに炒め、肉の表面の色が変わったら、塩とケチャップで調味する。
3. 炊飯器に水を切った米、乾煎りしたクミンシードを入れてざっくり混ぜ、2のたまねぎと鶏肉を乗せる。
4. さらに1のにんじんと干しぶどうを加え、水を加えて硬めに炊きお皿に盛って、にんじんや、お好みで余った干しぶどうを散らしてできあがり。


〔文・レシピ:青木ゆり子(各国郷土料理研究家・世界の料理情報サイトe-food.jp運営)〕


▼ インターネットラジオ「ごちそうリミックス」
今回紹介したアフガニスタンの炊き込みごはん「パラオ」を作るときのワンポイントアドバイス、世界の炊き込みごはんやにんじん事情など、話題満載です。
https://www.tjf.or.jp/gr/

▼ iTunes「ごちそうリミックス」番組ページ
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