韓国のインスタントラーメン。閔炳勖(ミン・ビョンウク)さん

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東京韓国文化院の教育文化広報チームで韓国語教育やコンテストなど、韓国の文化と言葉を広める事業を企画・運営されている閔炳勖(ミン・ビョンウク)さん。今年で日本生活9年めを迎えた閔さんの「Oh My Gochi」は......?

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韓国のインスタントラーメン
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私が小学生になってから両親は共働きを始め、私と妹の放課後の最大の宿題は 「晩御飯作り」であった。今はコンビニや定食屋さんで「お持ち帰り」という素晴らしいシステムが整っているが、90年代の小学生に迫ってきた宿題にしては重かった記憶がある。そんな状況を打開できたのは「インスタントラーメン」との出会いだった。ご飯が進むスープの辛さ、つるつるした歯応えのある麺、淡白な黄身と辛いスープの絶妙さと、おいしそうに食べる妹の表情は今でもはっきり覚えている。

その世界を経験してから数え切れないほど食べてきたラーメンの中には、初恋のように忘れられない味が幾つかある。父と釣った魚を入れて作ったラーメン、軍人時代の冬季訓練の夜中、同僚たちと密かに食べた飯盒で作ったラーメン、日本生活を始めて3ヵ月ぶりに食べられたラーメンがそれだ。しかし、よく考えてみると味を覚えているというより、一緒に食べていた「人」とその「思い出」を覚えているという表現が正しいように思う。今では韓国が懐かしくなった時にラーメンを食べる。楽しい思い出と一緒に口の中に広がるクセになる味。私にとってラーメンはコストパフォーマンスの良い日韓往復チケットだ。