タイの"家族"と食べた思い出の味。齋藤盛午さん

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初めて食べたあの味、忘れられないあの味......。そうした味の思い出をもっている人は多いと思います。そして、それはただおいしかった、まずかった、というだけでなく、そのときいっしょに食べた人や光景などを脳裏に蘇らせるのではないでしょうか。このコーナーでは、もう一度食べたい味(My Gochi/マイゴチ)と、それにまつわるエピソードをお届けします。

立教池袋高等学校で韓国語を教えながら、教育関係の公益財団法人で日韓交流プログラムや日タイ交流プログラムを担当している齋藤盛午さん。韓国語だけでなく、中国語とタイ語愛も熱く、タイ語に関しては今年、タイ語検定準2級を取得しました。そんな齋藤先生がタイで出会ったMy Gochiとは?

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 タイの"家族"と食べた思い出の味
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イサーン(タイ東北部)の玄関口、ナコーンラーチャシーマー県にあるピマーイ遺跡。タイのアンコール・ワットとの言われるこの場所で、タイ人の友人2名と待ち合わせをしていました。家族全員でやってきたA氏、妹と一緒に現われたB氏。もともと3人で会う約束がいつの間にか大所帯に。そのことに特に驚かなかったのは、その直前に訪問した首都バンコクでも同様の経験を幾度となくしていたからです。逆に、タイの方々は一人で旅行をしている私を見て少し驚いているようでした。

ピマーイ遺跡見学後、待ちにまった昼食の時間。皆でテーブルを囲み、ソムタム(パパイヤサラダ)やサイクローク(ソーセージ)などイサーン料理を堪能しました。タイ料理好きな人にとっては既にお馴染みのソムタムですが、本場は中部ではなくイサーン。バンコクよりも辛く味が濃いのが特徴とのことで、辛いもの好きの私にとってはこれまで食べたソムタムで一番美味しく感じられました。独特の酸味があるサイクロークも言うまでもなく絶品。数時間前に会ったばかりのメンバーですが、食事が終わるころにはすっかりと打ち解け、まるで本当の家族のように仲良くなりました。

今回の訪泰では、海外からの来客を家族総出で迎えるタイ式の歓迎に心があたたまると共に、家族のあり方についてあらためて考えるきっかけともなりました。バンコクを筆頭として急速な発展を経ているタイですが、この「タイらしさ」はいつまでも残っていてほしいと強く感じました。帰国後も足繁くタイレストランに通っていますが、ソムタムを食べる度、タイの"家族"の顔が頭に浮かびます。いつかまた彼らとイサーン料理の並んだ食卓を囲める日が待ち遠しいです。