ドイツ留学時代に出会ったメットヴルスト。境一三さん

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今回のOh My Gochiは、慶應義塾大学経済学部教授でドイツ語を教えている境一三さん。学部生時代、ドイツで哲学を勉強するために、ミュンスター市の大学に留学しました。そこで、出会ったGochiは......。



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 ドイツ留学時代に出会ったメットヴルスト

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ドイツの多くの町では、毎週決まった曜日に、教会前の広場などで市が立つ。そこには、野菜・果物だけでなく、ハム・ソーセージ、精肉、チーズ、鶏卵、パン、香辛料から花卉(かき)にいたるまで、色とりどりの新鮮なものが並ぶ。散歩がてら、屋台を覗いてまわるのはとっておきの楽しみである。


肉屋のガラスケースには、何十という種類のハムやソーセージが並ぶが、その中にぼくの大好物がある。Mettwurst メットヴルストだ。これは、豚の生肉を挽いて香辛料を加えソーセージ状にしたものだが(軽く燻製したものもある)、これを Brötchen ブレートヒェンという直径10センチくらいの白パンを水平に半割にしたものにペーストのように塗って食べるのだ。旨い。タマネギを角切りにしたものを載せて食べるとなお旨い。

これは、パン屋のオープンサンドを売っているコーナーに置いてあることもある。その場合は Mettbrötchen メットブレートヒェンという名で出ているのが一般的か。生の挽肉が口の中でほどけ脂身が溶ける。まるで、マグロの中トロのように。


牛肉の挽肉に薬味を刻み込んだタルタルステーキならともかく、豚肉は寄生虫がいて危険ではないかと言うなかれ。これは、それ用に注意深く育てられた豚の新鮮な肉で作るのだ。

貧しかったドイツでの学生時代、パンにチーズとソーセージの薄切りがあるだけで幸せだったが、たまにこのメットヴルストにありついたときの嬉しさといったらなかった。今でも、出張でドイツに立ち寄るときは、空港や駅のパン屋で、ついこれを探してしまう。