算数の先生がスペイン語を独学、そのワケは?茂木俊浩さんの「んじゃめな!」

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 わやわや 2016年11月2日

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◆◆ んじゃめな!
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東京の光塩女子学院初等科で算数と理科を教えている茂木俊浩さん。同校はスペインの宣教修道女会が設立母体で、スペインをはじめメキシコ、フィリピン、ミクロネシアに姉妹校をもつ。スペインにある姉妹校の児童と交流をさせたいと思った茂木さんは独学でスペイン語を学び、夏休みにはスペインを訪れて修道院に寝泊まりまでした。そんな茂木さんの「んじゃめな!」

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国際交流は「ネイティブ」よりも「つながり」
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◎私立カトリック小学校で発見した、驚きの歴史
赴任が決まって、学校の歴史を調べてみました。私立学校独自のバックグラウンドがあり、それに沿った教育をしているはずだからです。すると、興味深いことがわかりました。スペインからやってきた宣教修道女会のシスターが、1931年に設立した学校だったのです。スペインと強いつながりがある小学校なんて、珍しいですよね。すばらしい個性だと思いました。

しかし、スペインに姉妹校があるものの、交流をしているのはシスターだけで、学校全体としての取り組みはありません。資料もあまりない。いずれは交流が途絶えてしまうのではないか、そうなっては、せっかくの個性が惜しいと思いました。そこで3年かけて、シスターへの取材や過去の校内新聞をもとに、学校の歴史を調べて一冊の本にまとめました。

◎スペインの子どもと英語で学び合う
姉妹校と交流を始めたいと考え、独学でスペイン語の勉強も始めました。児童にも学んでほしいと考えましたが、授業枠がありません。そこでほかの先生たちと相談して、スペインの姉妹校の児童とは「英語で国際交流をする」ことにしました。

始めてみてわかったのは、非ネイティブ同士が英語で交流することのすばらしさです。交流相手が英語圏のネイティブ・スピーカーだと、相手から吸収することのほうが多いですよね。でも、お互いに英語のネイティブではないから、立場は同じです。どちらも英語でのコミュニケーションがうまくなりたいので、双方向で学びあえるんです。スペイン語の授業ができないならばと仕方なく始めたことでしたが、意外な発見でした。

◎「つながり」を学習の動機に
これまでにクリスマスカードを交換したり、学校行事での歌や演奏をしている動画を送りあったりしてきました。学校内で着るスモックが自分たちと同じものだとわかると、児童にも親近感がぐっとわいてきました。アンケートを取ってみると、99%の児童が「スペインの子どもと英語で交流したい」と答えてくれました。相手が英語のネイティブかどうかということよりも、「なぜこの人たちと交流するのか」という、動機づけのほうが大切なんじゃないかと思います。

これから児童に直接交流もさせたくて、夏休みはスペインまで自費で下見に行ってきました。現地の修道院で寝泊まりもしてみました。創立者のシスターが生活をしていた場所に児童を連れて行きたいと思ったからです。

小学生で国際交流をしてもすぐには芽が出てこないかもしれません。でも、10年後かそれよりもっと後に、何かしらの影響が現われてくるという、確信に近いものがあります。私自身、小学校の夏休みに、アメリカで20日間の国際交流プログラムを体験しました。当時は英語が大嫌いになりましたが、その経験が今の私のバックグラウンドになっていると、振り返って思うのです。

◎互いに学びあう
姉妹校の校内ではスペイン語でも英語でもなく、地元の言葉であるバスク語であいさつをしていたのに驚きました。自分たちの文化を大切にしているんですね。日本のことを聞かれることも多かったです。これまでスペインのことばかりを知ろうとしてきましたが、もっと自分たちのことを知って、伝えられるようにならなければいけないと思いました。それができてようやく、本当の意味で双方向に学べるのだと思います。



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◆◆ スタッフのつぶやき
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長江です。
うちには育ち盛りの中1の息子と小4の娘がいます。

この夏休み明け、息子のクラスの保護者会に出ました。出席したのは全員お母さん! 少なからずショックを受けました。これが日本の子育ての現実なのかと。担任の先生に問われるまま、お母さんたちは我が子の夏休み中の様子を順番に話していきました。反抗期真っ只中というエピソードがいくつも語られました。

絵に描いたように言うことを聞かず、悪態をつく我が子を、腫れ物に触るように扱ったり、反対に冷たく突き放してコミュニケーションを絶ってしまったりと、苦肉の策を講じているご様子がうかがえました。中学生になるとみんな早かれ遅かれお約束通りに親に反抗するものなのか、うちはたまたままだ始まっていないだけなのか、かわいい息子も突如豹変して私に牙を剥くのか、とまたショックを受けました。

そのタイミングで『思春期の子どもと向き合うすごいコツ』(尾木直樹、講談社文庫、2016)を目にし、一気に読みました。そこには私が保護者会で聞いてきたお母さんたちの対応が、もっとも間違ったものであると書かれていました。

思春期は「自立」と「依存」のあいだを行ったり来たりしているため、親は子の「巣」となれ「壁」となれ、というアドバイスでした。過干渉せず、過度に心配せず、ねちねち説教せずに、言うべきことを毅然と言ってサッと引き、あとは小さいころからやってきたようにたっぷりの愛情を注ぎ続ければよいと。さらに、なぜ親たちは自分の十代をすぐに忘れてしまうのだろう、みんな通ってきた道ではないかとも。そのとおりだと思いました。そして、このテーマの本はこの1冊で十分、もう読まなくてもいい、と確信しました。

息子に保護者会で聞いた話を敢えてしてみました。君のクラスメイトたちがもう親に反抗しているようですよ。君もいつかこの母に向かって「クソババア~」って吐き捨てる日が来るのかしら? 受けて立つからぶつかってこい、壁になる覚悟はできている、と。

「なにそれ? そんなこと、言わねぇよ!」と息子は笑っていました。「何を隠そう、この母は中学生のころ、親が大嫌いで家出したかった。だから高校進学と同時に家を出たんだ」と話すと、「マジか」と驚く息子。十代の延長線上に私がいると思える限り、いつか反抗したくなる息子や娘ともわかりあえるはず。一緒に乗り越えて、親子ともども成長していきましょう。



===〔お役立ち情報〕=====

他団体が主催する、参加者募集中のイベントをご紹介します。
詳細は、各団体にお問い合わせください。

●「Challenge Art in Japan 2016-環状の岸辺」東京芸術大学に在籍する韓国人留学生と日本人学生総勢12名による展覧会〔11/8(火)~11/26(土)、東京芸術大学〕
http://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?number=5126


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