AC部だから作る

AC部だから作る

PEOPLEこの人に取材しました!

安達亨さん、板倉俊介さん

クリエイター

AC部は安達亨、板倉俊介、安藤真が1999年に結成した映像制作を中心に活動しているデザイングループ。3名とも多摩美術大学出身。学生時代に安達と板倉が制作した「ユーロボーイズ」がNHKデジタルスタジアム年間グランプリを受賞したのをきっかけにAC部の活動を開始。AC部作品は、インパクトで印象に深く残る。AC部だけが表現できる独特な作風でCGアニメーションやTV・CM・ミュージックビデオなどで活躍しているAC部の安達亨さんと板倉俊介さんに話を聞いた。

group_inou/AC部 ©2011年「 HEART」
https://www.youtube.com/watch?v=w_os8HqfxHc

学生時代の出会い

大学2年生の時にずっとクラスが一緒で、最初3人でAC部を始めた。2年の頃にちょうどパソコンの時期になって、スキャナーやデジタルカメラとかでアニメーションを作ることができた。音楽も、自分たちが作ることができる時期であった。3年生になってちょうど学校に映像コースができ、迷った上、映像コースに行くことにした。

安達亨さん、板倉俊介さん

下手になっちゃう部分が大事

学生時代の作品は、今とあまり変わっていない。そこについては真面目な方だった。他の学生よりも授業にきちんと出て学生生活を頑張っていた。

普通に絵を描く授業がある時、多摩美の学生だからみんなうまく描こうとする。講評をするときに、みんなのうまい絵の中に変な絵があれば面白いことに気づいた。そのことを知って、その時から変な自分一人では絶対に描けないものを描いた。自分ができない部分を見せたくないと思っている部分、そこを破った。

これが我々の独特なやり方だと思う。大学生活で下手な部分を隠さないようにしてその部分が面白い。自分が頑張っても下手になっちゃう部分を大事にして、そこを出したら面白い絵が出るという。

安藤真作©作1999年「ユーロボーイズ」
https://www.youtube.com/watch?v=iY8QfStyWQU

学生時代に作った作品の強さ

3人で学生のころ、AC部を作って、一人一個ずつ作品を作っていくスタイルだったけど、卒業してそれで食っていけると思わなかったので、それぞれ就職活動をして就職した。それで一人は今の会社に今まで勤めていてAC部の仕事はあまりしていない。

その大学生の時に先生がNHKの人とCM制作会社の人。この二人業界から来た先生が僕らが作った卒業制作を見てくれて、面白い学生が出てきたという感じでわりとすぐCMの仕事が入ってきた。卒業してから半年くらいでCMの仕事がきて、そこで会社を辞めないと作れないと思い、会社を辞めてアルバイトに変え、AC部の仕事が入ってきたら並行して、アルバイトがどんどん消えていく感じだった。

自分たちではどんどん形やスキルを上げて来てはいるが、あまり変わってないねと言われる。しかし、たえず自分たちとしては新しいことをチャレンジしていくつもりでやっていくしかないと思う。でも、やはり学生の頃に作ったものがすごく強くて、今にはない強さがある。それを見ると思い出して、「作らないと、頑張らないと」という気持ちになる。

どうしたら人々を驚かせるかを考える

AC部映像作品の中で、『group_inou/HEART (single mix)』というPVがあるが、それを制作した頃は、AC部の活動に様々な悩みが出てきた時期だった。

しかし、この作品を通じてAC部のスタイルが固まってきた。制作過程は、「group_inou」から曲だけを渡され、わりと自由に制作できた。制作は大体流れをパッと置いて、ざっくり書いて、歌詞の一行ずつのカットをお互い作り、カットのつながりを全く考えずに、大体の流れで好きに作って最後にパパッと並べた。

『group_i nou / HEART (si ngl e mi x)』はいい曲で、昔のドラマを参考にするためレンタルビデオを借りた。昔のドラマは極端な顔や激しい顔の演技が多く、これを映像に反映した。

実は「のだめカンタービレ」のドラマを見ながら指揮の感じを作品の中で表現。 人物のむきむきしている姿やお尻などを強調する表現は普通に描くと、ただ普通の絵になってしまうからどこか面白くしたかった。

自分が作っているのは、AC部だから作る。自分の個人的な絵では作らないだろうというものを作る。AC部なら、このような形で作るだろうとするのを表現。それに合わせてこのようなものを作る。自分が何を作りたいか以前に、どうしたら人々を驚かせられるか、それを重要視して作っている。

作ることって大事

毎回毎回、一個一個作った仕事が次の仕事につながっていく。

『group_inou / HEART (single mix)』PV はすごく広告効果があった。それをみて依頼してくる人も沢山いた。

今ちゃんと話題になるものを作ったらすごい。ちゃんと話題になるし、広まる。

やはり、他の人が見てくれてるから作っている。普通の一般の人もクライアントも広告代理店もとにかくみんな面白いことを探してる。それでちゃんと流行れば作った人が仕事しようと思ったらちゃんとできるということ。

group_inou/AC部 ©2011年「 HEART」
https://www.youtube.com/watch?v=w_os8HqfxHc


安達さんの「group_inou – CATCH」PVのラフスケッチ

ライブ感ある高速紙芝居

元々なんとなくのネタをためてきた。こんな紙芝居どうかなというちょっとしたネタを書いて、いつかできたらいいと思っていた。そこに、紙芝居のイベントを知り合いが開き、普段はアニメーションの作家や漫画家など様々な人に紙芝居をするイベントに参加してもらい、そこで、いろんなためてあるアイデアを持ち出しながら完成した。

高速紙芝居は全部後ろに指示が書いてあって練習をして覚える。何度かやるとできるようになってく。最初は半日くらい演習して、四日間で書いて半日で覚えて本番。

AC 部はいつもパソコンで作業してダイレクトな反応がもらえない作業が多いのだが、紙芝居はライブ感、その場でリアルな反応を受けたい気持ちが前からあって、とても良い経験だった。

高速紙芝居©2014年「安全運転のしおり」
https://www.youtube.com/watch?v=09o0nRFAwN8

目の解像度が違う

作品に対して『キモカワイイ』というのは、人々がどうとらえてるのかという感覚。結構自分らキモイと思ってると、大分キモイ。自分たちがキモカワイイぐらいかなと思ったら、大分キモイ。それで、本当にかわいいというのに、ちょっとだけピってキモイをつけたぐらいがキモカワ。世の中、大分かわいいよりだなって思う。

最近思うのは、目の解像度が違うということ。見分ける力、世間の人は大体こんなもんかという。ざっくりというのはそれぞれあって、全然もの作りをしてない人は、これぐらいの固まりで見て、もののつくり手はどんどん細かく、どんどんスキルが上がるごとに、細かく違いを見分けるようになってく。

こっちからすると、「全然違うじゃん」というものが、ざっくり「いや、気持ち悪い」と思われる。「気持ち悪い」と「かわいい」の境界はすごいギリギリ。意識が違うのに、その意識をこっちから変えることは絶対できないというのが分かって来た。しかし、自分の作品は普通に面白いと思って作っている。気持ち悪くしようとは全然してない。変わった絵を描くより、描こうとして下手になったというところが基本にあるから、ただ下手になっただけ。それが世間から見ると下手じゃなくてキモイと感じる。だから、ちゃんと丸を描こうとして描けてないというのはキモイと感じるらしい。

今後の活動

今までの通りやっていけたらと思う。それプラス、どんどん活動の幅を広げていきたいと思っている。キャラクタービジネス、「イルカくん」というキャラクターで仕掛けていきたい。そして、ずっと二人でやってきてるから仲間と一緒に何かのプロジェクトを進めていくこと自体に興味があり、それでみんなで楽しんで実ってやっていけたらいいなと思う。

「イルカくん」のラインスタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/1108540/ja

AC部からのプレゼント

イルカくんのセラピーボールを紹介している板倉さん

(インタビュー:2016年6月)

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