横須賀市と海軍カレーとの絆

横須賀市と海軍カレーとの絆

PEOPLEこの人に取材しました!

松本雄次さん・保坂亜由美さん

横須賀市役所 文化スポーツ観光部 観光課

昔、長時間で海上の軍艦に勤めた兵士たちは生活での一番楽しみが食事でした。曜日感覚を失わないように、金曜日にカレーライスを食べていたようです。それから、カレーライスを食べた兵士たちが横須賀に戻って、カレーライスがどんどん広がりました。それがきっかけで、横須賀はカレーの発信地となり、よこすか海軍カレーもメインブランドになりました。
今回、「カレーの街よこすか推進委員会」事務局をされていて、横須賀市役所観光課の松本雄次さんと保坂亜由美さんにカレーの街の過去の経緯と取り組みについてお話を伺いました。

カレーの街よこすかの背景

1998(平成10)年12月に、海上自衛隊横須賀地方総監が退官する際に、お別れパーティーで、「海軍の街である横須賀でカレー発信の地として、カレーを地域の活性化に利用してみては」という話がありました。当時、呉市と舞鶴市は肉じゃが誕生について本家争いするほど熱心に町おこしに役に立てていました。カレーライスが庶民の料理まで普及したのは海軍のカレーにルーツがあるので、総監はそういうことを提案しました。
しかし、ただ気持ちだけでは推進できないので、市役所、商工会議所、海上自衛隊が「カレーの街よこすか推進委員会」を設置しました。また、カレーを販売する事業者を取りまとめる組織として「カレーの街よこすか事業者部会」も設置。市役所は横須賀市で様々な取り組みを取り上げ、例えば、カレーフェスティバルや各地のPRのイベントなど。商工会議所はお店さんや事業者の取りまとめに支援することです。事業者はよりよいサービスの提供をすることです。それで官民一体となって推進体制を構築することができます。今はそういう形でカレーの街よこすかの推進を進めています。

よこすか海軍カレーとは

海軍カレーと聞くとすぐに「よこすか海軍カレー」を思いつきますが、その海軍カレーとはただ地元グルメだけでなく、なんと五つの五原則があります。

その1、「海軍割烹術参考書」(明治41年に発行された、日本海軍で提供されていた軍隊食のレシピ本)のレシピをもとに現代に復元したカレーです。昔の味は再現するため、当時の割烹術参考書に基づいて作ります。それに味の統一性はなくなったら、各店舗の味が段々違うようになってしまうので、各店舗にこの原則を守ってもらいます。

その2、原則として、横須賀市内しか提供できません。

その3、必ずサラダと牛乳をセットにして提供しています。栄養のバランスも重要なので、常にその形で提供されています。実際に今の海上自衛隊でもサラダと牛乳を取っています。

その4、よこすか海軍カレーは「ご当地グルメ」です、B級グルメではありません。

その5、カレーの街よこすかの認定店だけが名称使用を許可されています。
「よこすか海軍カレー」は非常に有名なブランドなので、「よこすか海軍カレー」という名は勝手に出してはいけません。

よこすか海軍カレーの歴史につて

明治初期、海軍と陸軍は栄養不足の原因、「脚気」という病気が流行っていました。そのため、明治17年に海軍軍医だった「高木兼寛」は兵食改革に着手しました。当時、イギリスの軍人はシチューというものを食べていて、脚気などは全くなかったので、高木さんが「じゃあ、イギリスのシチューを真似してみよう」とシチューに小麦粉でとろみを付けて、ライスにかけたメニューが軍隊食に取り入れられました。それから、兵役を終えた兵士たちは故郷に戻って、カレーライスがどんどん広がってきました。この話は現在の日本のカレーライスのルーツと言っても過言ではありません。

金曜日はカレーの日?

なぜ、毎週の金曜日に海上自衛隊がカレーライスを食べるかというと、ずっと海上にいる自衛隊が、日々の風景がほぼ同じで、曜日感覚を失わないように金曜日にカレーライスを提供することになっています。

メインブランド

「よこすか海軍カレー」という名称使用の許可をもらうのは容易なことではありません。事業者部会はメインブランドのクオリティーを一定水準以降に保つために、原則として月に一回「商品審査委員会」が行われます。承認されたカレーだけは「よこすか海軍カレー」の名称で販売の許可を与えられます。味の品質やサービス向上などは継続的な努力が必要だということです。また、「よこすか海軍カレー」という名称は任意に変えてはだめです。例えば「海軍カレー」とか、「横須賀海軍カレー」とか「ヨコスカ海軍カレー」みたいな、漢字や片仮名になったりしてはだめです。

現在の推進活動

もっと多くの人に海軍カレーを認識してもらい、カレーの街よこすかを盛り上げるために、よこすか海軍カレーのブランド化、維持、向上とか、市民を巻き込んだ企画の立案をして市民の認知度を上げるとか、市内外への積極的な広報、例えばイベント出店、メディア露出などもしています。主なイベントはよこすかカレーフェスティバル、カレーゲーム、チャリティーカレー、全校一斉カレーの日です。

よこすかカレーフェスティバル

当日、全国ご当地カレーグランプリがすごく盛り上がります。全国の事業者は各自のカレーを出して競争し、最後に投票で、全国一番のカレーが選ばれます。今年は埼玉県北本市のB級グルメとして知られる「北本トマトカレー」が5年ぶり2度目の優勝を飾ったということです。それに、よこすか海軍カレー&横須賀海上自衛隊カレーバイキング(市内の事業者)、このコーナーでは一気に四つのカレーの味が楽しめます。毎年5月中旬に開催し、2日間で50,000人を超える来場者が訪れます。横須賀を代表するグルメイベント認知されるようになりました。

カレーフェスティバルのブランド化

カレーフェスティバルの目玉企画「全国ご当地カレーグランプリ」を開催。全国のご当地カレーが横須賀のカレーグランプリへ参加し、入賞することがブランドの向上へ繋がっています。写真は富良野市のオムカレーが最初のグランプリに参加して優勝した記事です。

カレーゲーム(2001年~)

横須賀市民を始めとしたベースボール、ファンにすっかり定着した「よこすかカレーゲーム」を実施し、試合の前からよこすか海軍カレーや横須賀海自カレー、関連商品を販売することで「カレーの街よこすか」をPR。

チャリティー(2004年~)

カレーの街よこすか事業者部会に加盟している事業者が、200円以上の募金で、よこすか海軍カレー、横須賀海上自衛隊カレーを提供し、募金は全額、被災された方々に寄付しています。

全校一斉カレーの日(2012年~)

1.全ての市立小学校、特別支援学校給食でカレーライスの献立を実施し、「全校一斉カレーの日」チラシを配布。
2.小学校一校で、カレーに関する講義を実施。

カレーの街よこすかの成功要因

よこすか海軍カレーが成功したのには、3つの要因があります。第一に、よこすか海軍はもともと長い歴史とストーリーがあること。過去のストーリーに合わせて、海軍カレーを再現して、みんなにカレーを食べてもらう時に、昔はそういうカレーを食べていたんだと体験できます。横須賀の街の歩み(歴史)にあったストーリー展開で、カレーグルメを開発できたのです。
第二に、官民上げての取組であったことです。市役所と事業者との連携のおかげで、官民一体となり、今まで上手く発展した街ができました。
第三に、市民が盛り上げ、横須賀の誇りとして「よこすか海軍カレー」が認められたことです。海軍カレーの横須賀の名物なので、市民として誇りの存在です。横須賀に来たら、絶対に見逃してはいけないというほどの、おすすめのものです。

担当者としての思い

横須賀市が「カレーの街よこすか」を推進して、今年で20周年を迎えますので、次々と新たな取り組みを実施し、横須賀の魅力をPRしていきます。

(インタビュー:2019年5月)

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