公益財団法人国際文化フォーラム

報告

日韓教師交流イベントを実施しました

2014年8月12日、北浦和にある国際交流基金日本語国際センター(以下、NC)のホールに、韓国の中高校で日本語を教えている教師54名と日本の高校の韓国語教師20名、スタッフをいれて80名が集まり、1日の日韓教師交流イベントがスタートしました。

韓国の日本語教師は、NCが毎夏実施している「大韓民国中等教育日本語教師研修」の研修参加者です。日本の高校で韓国語を教えている教師と交流したいとの要望が出ていたことを受け、日本の高校の韓国語教育事業に携わってきたTJFとの共催でこのイベントが実現しました。

近年、韓国国内では、中国語教育の進展や日韓関係の影響により日本語学習者数が伸び悩んでおり、韓国の中等学校の日本語教師は日本語教育の将来に不安を抱えていると聞いています。また、高校で韓国語を教えている日本の高校の韓国語教師の間でも、韓国語学習の意味や動機づけは共通のテーマとなっています。

日本と韓国で互いのことばを教えている先生方が隣国のことばを学ぶ意味について考える機会を持つことを通して、韓国の日本語教師が抱える不安が少しでも解消でき、日韓で支え合える仲間をつくるチャンスでもあり、日本の高校で韓国語を教えている先生方にとっては、自然な韓国語の表現や最新の韓国事情、交流先を知るきっかけになることを期待しての開催でした。

午前中

■特別講義「隣語を学ぶことの意味 -他者の発見・自己との出会い・つながりの実現-」

神奈川県立鶴見総合高等学校 山下誠先生
2013年10月9日、長年にわたる韓国語教育界への功績が認められ、「国務総理賞」を授賞された山下先生が、これまで日本の韓国語教育がたどってきた道、そしてこれからについて熱く語りました。

午後

■生徒が「これから1年間頑張るぞ」、「おもしろそう」と思うような最初の日本語の授業をグループ(4人~5人)で作成することをめざし、日韓の教師が17のグループをつくり、作業を行いました。

13:30~13:50 グループづくりとアイスブレイキング

17のグループを作る(各グループに必ず日本の韓国語教師が1人はいる)
グループ内の顔合わせ(全員ネームプレートはつけている)

1. 名前/2. どこから来たか/3. 昨日食べた美味しいもの1品/4. 好きな韓国語あるいは日本語を一つ/5. この時間に期待していること・なんで今日参加しているのか。

グループでの話し合い

13:50~14:20(第1ラウンド 全30分間)

韓国の先生方は、自分のグループにいる日本の先生の学校にゲスト講師として招かれて、はじめて韓国語を学ぶ日本の生徒が対象に1コマの授業をやることになった、日本の先生はグループにいる韓国の先生の学校に招かれて1コマ日本語の授業をすることになったという前提で、授業が終わったあとに「韓国語/日本語ってたのしい!これからも学び続けたい!」と思ってもらうためにどんな授業をするかを考える。

1.10分 アイデア出し(ウォーミングアップ、個人作業)
ポストイットに、アイデアを書いてください。1枚に1つのアイデアでお願いします」

2.15分 共有の時間
それぞれが書いたアイデアをグループ内でシェアする。ポストイットを模造紙に貼りながら説明。

14:20~15:15(第2ラウンド、個人+グループ作業)(全75分間)

韓国の生徒が「これから1年間頑張るぞ」、「おもしろそう」と思うような最初の日本語の授業を考える。

1.10分 アイディア出し(個人作業)
どんなことができそうか個人でポストイットに書き出す。対象が中学生か高校生かは書いておく。

2.10分 共有の時間
ポストイットに書き出したアイディアを、模造紙に貼りながら、1人ずつ「こんなの考えたんですけど」と話しながらシェアする。

3.55分(アイデアをしぼり細かいところを決めていく+授業案としてまとめる、グループ作業)
出されたアイデアから、グループで一つの案に絞って簡単な授業案を作る。案を一つ選んでもいいし、いくつかの案を組み合わせても、今出ている案から思いついた新しい案でもOK。

グループ内の話し合いの様子

授業案に書いてもらった項目
■グループメンバー
■タイトル
■対象
■目的
■内容
■だいたいの流れ

15:15~16:05 発表(50分間)

4~5グループで1つの大きなグループを作り、ボードにそれぞれのグループが作成した授業案を貼り、1グループずつ代表がでて説明。質疑応答やコメントをしてもらう。

発表の様子

成果物である授業案は、午前中の山下先生の話を思い出しながら、隣語として日本語を学ぶというテーマで、初めて日本語を学ぶ学生のことを考えながら作ったことを感じさせるものが多くありました。

イベント終了後は、ほとんどの人が近くの居酒屋に移動して懇親会。その後二次会に突入したことはご想像のとおりです。今回は初めての試みで改善点も多々ありますが、来年もぜひ継続したいと思っています。