公益財団法人国際文化フォーラム

日露交流報告

「日露交流学習プロジェクト」中間報告会をサンクトペテルブルクで開催

日露交流プログラムを開始して4年めとなる2018年度は、日本の高校ロシア語教師とロシアの初中等日本語教師9ペアが、2018年4月~2019年3月の一年間をかけて、「言語学習」「文化理解」「相互交流」を融合した教室活動を共に考え、協力して実践する「日露交流学習プロジェクト」に取り組んでいます。

プロジェクトに参加する日露教師が協働的に実施計画を立て、両方の教育現場で実践し、評価・改善を行うまでの全プロセスを支援するために、TJFは早稲田大学日本語教育研究センター准教授の金孝卿氏にプロジェクトのアドバイザーをお願いしています。

このプロジェクトの中間報告会を、11月2日にサンクトペテルブルクで開催しました。さらに、この報告会にあわせて「互いのことばを教える日露教師合同研修」を3日に、プロジェクトに取り組んでいる教師の会合を4日にそれぞれロシアキリスト教人文アカデミーを会場に実施しました。

交流学習プロジェクト中間報告会(11/2)

4~5月に各参加教師ペアに交流学習計画を作成・提出してもらい、4月末に第1回オンライン研修(プラン作成・事前研修)を金孝卿氏の指導とファシリテートのもとに実施しました。すべてのペアが9月の新学期には交流学習を開始しました。

中間報告会では、日本側教師6名、ロシア側教師8名が、それぞれの交流学習計画と現段階における実施成果と課題について報告しました。現地には行かれなかったものの、オンラインで参加した教師もいました。

在サンクトペテルブルク総領事館の多田琴美副領事を迎えて始まった報告会には、サンクトペテルブルク市内の日本語教師27名も参加し、熱心に発表を聞いていました。

各参加教師ペアの実践はさまざまです。たとえば、TJFの日露交流プログラムを通して出会った、青森県立南高校とサンクトペテルブルク583番学校は、すでに姉妹校協定を結び、今回の交流学習プロジェクトでは、青森南高校はロシア語を学習しているかどうかにかかわらず、全学年が参加し英語とロシア語を使った「将来の夢」もしくは「今、夢中になっていること」をテーマにしたビデオ作成とそのビデオを介した活動を実施しています。また、富山高等専門学校とロシアキリスト教人文アカデミー付属カレッジの交流では、カレッジ側はロシアの文化がよく表れている昔話のアニメに日本語の字幕をつけて紹介し、高専側はそれを視聴して感想や質問を返すなどの活動を通して、日本語とロシア語、日露文化の違いを学ぶ活動を実施しました。

交流学習の成果

発表会では、「プレゼント交換の活動を実施したが、その際にプレゼントに添えられたメッセージが、生きたロシア語・日本語の学習材料になることにあらためて気づき、ロシア語ならでは、日本語ならではの表現や、辞書には出ていなくても若い人たちがよく使う表現を学ぶ活動を考えるきっかけとなった」「教科書中心の勉強と違って、準備が大変で、学校の理解と同僚の協力も必要だが、生徒たちが生き生きとプロジェクトに参加できている」などの報告がありました、また、「SNSで何を発信したらいいかわからないという生徒からの質問に対し、交流がスムーズに行くように、生徒たちと投稿のルールづくりから始めた」「プロフィールシートを作って、そのシートをもとに日露の生徒間でのペアリングをすることで、一方的な発信にならないように工夫した」「勉強のための勉強ではなく、社会貢献につなげた学びを意識させた」「相手の顔が見える交流を重視し、相手を意識したコミュニケーション活動を心がけた」とそれぞれが工夫したことが報告されました。

互いのことばを教える日露教師合同研修会(11/3)

前日の中間報告会に参加してくれたサンクトペテルブルク市内の日本語教師など18名とプロジェクト参加教師14名が参加する合同研修会を11月3日に実施しました。研修会では、金孝卿講師による文化を取り入れた日本語の授業作りのレクチャーを聴いてもらったあと、日露混成のグループに分かれて授業プランを作るワークをしてもらいました。最後に授業プランのポスター発表を行いました。日本のおばけをテーマにしたプランや、浮世絵を見て日本の入れ墨やロシアのタトゥ文化について考えさせるなどユニークなプランが出来上がりました。研修会終了後の懇親会で日露の教師たちは、さらに交流を深めました。

交流学習プロジェクト参加教師会合(11/4)

11月4日には、プロジェクト参加教師だけで会合を開き、交流学習を実践する教師にとって必要なことを今一度振り返りました。そして、中間報告会で得られた感想や意見と、合同研修で学んだことを踏まえ、これまでの実施計画の改善と新たな学習活動の構想に取り組みました。

今後に向けて

この一連の研修は、交流学習プロジェクト参加教師だけでなく、これから交流学習に取り組もうと考えている研修参加者にとっても刺激とパワーを与えてくれるものとなりました。

交流学習プロジェクト参加教師は、当初の実践計画に修正を加え引き続きそれぞれの教育現場で実践を続けています。その実践の最終報告会は、2019年3月末にオンラインで行う予定です。日本とロシアのみならず、「交流学習」にご関心のある多くの教育関係者の方々にも聞いていただきたいと思っています。最終報告会の参加募集は、1月中にTJFのホームページ、Facebook、メルマガでお知らせします。

(事業担当:長江春子)

事業データ

名称

①交流学習プロジェクト中間報告会
②互いのことばを教える日露教師合同研修会
③交流学習プロジェクト参加教師会合

期日

①2018年11月2日(金)
②2018年11月3日(土)
③2018年11月4日(日)

場所

ロシアキリスト教人文アカデミー(ロシア・サンクトペテルブルク)

助成

(一社)尚友倶楽部

会場・運営協力

ロシアキリスト教人文アカデミー

広報協力

①、② 在サンクトペテルブルク日本国総領事館
第15回「サンクトペテルブルク日本の秋」フェスティバルの行事として登録

講師・アドバイザー

金孝卿・早稲田大学日本語教育研究センター准教授

参加者

①41名(プロジェクト参加教師14名、現地在住日本語教師27名)
②32名(プロジェクト参加教師14名、現地在住日本語教師18名)
③14名(プロジェクト参加教師のみ)