教学設計
 
第15号 2003/4
概要
自分が家族から恩恵を受けていることを再確認する。家族との出来事、家族への感謝の気持ちや希望を授受表現を使って表現する。
目標
情意目標
家族が自分のためにしてくれたことをできるだけ詳しく思い出す。
自分が家族から恩恵を受けていることを再確認する。
自分が家族にしてあげたいことや、してもらいたいことを考える。
友だちはどうかを知る。
言動目標
家族の出来事、また家族への感謝の気持ちや希望を,、授受動詞や授受表現を正確に使って再現できるようにします。
学習文法・文型
・~してくれる
・~てもらう
・~てあげる
・~てあげたい
・~として
・~ことはない
・~にとって
対象学習者
高校1年(高校『日語』1-7 「三つのおの」、 高校『日語』1-8 「電車の中で」)
授業のヒント
用意するもの
事前準備
優、未知、隆幸の写真を教室に張っておく。生徒はそれをよく見ておく。
そのとき、写真説明文(中国語)は隠しておく。
(もしあれば、これまでの『ひだまり』についてきた関連の写真も張っておく。)
1. 雰囲気作り (3分)
<発話例>
教師
「みなさんは、写真を見ましたか?どの写真にいちばん興味を持ちましたか?」
「どんなことに気がつきましたか」
「この人とこの人はどんな関係ですか?何をしていると思いますか?」
など
<発話例>
教師
「では、今日は「家族」について考えましょう」
2. 素材文を読んで、質問に答える (15分)
(1)
教師はクラスを3つのグループに分け、グループごとに異なる素材文(優、未知、隆幸の三種類)を配る。
(2)
教師は、先ず質問を提示してから、各自に素材文を読ませる。
<発話例>
教師
「優、未知、隆幸の3人が家族にどんなことをしてもらっているかを、素材文の中から探してください」

 
(3)
生徒は質問の答えを隣の人と確認しあう。
(4)
生徒は質問の答えを発表する。(未習単語は発表した人が説明する。母語でもいい。)教師は発表内容を黒板に書いてまとめる。(生徒に書いてもらってもいいでしょう。)
<発話例>
生徒
「お姉さんが隆幸君をいちばん理解してくれます」
<板書例>
  いつ 誰が  
困った時 お母さんが アドバイスをしてくれます
未知   おじいさんが 落語を教えてくれます
隆幸 困った時 家族が 話を聞いてくれます
お姉さんが 理解してくれます

 
(5)
生徒は素材文を読んだり、発表を聞いたりして、どう思ったかを言う(母語でもいい)。
<発話例>
生徒
「隆幸さんのお姉さんは毎日忙しくて家にいないそうです。何をしているのですか」

 
(6)
生徒は、優、未知、隆幸がどんな人かを想像して言う。
<発話例>
生徒
「隆幸さんは家族をとても大切だと思っている人だと思います」
教師
「優さん、隆幸くん、未知さんは、みんなと似ていますか」
3. 家族にしてもらったこと、してあげたことを考える (5分)
(1)
教師はワークシート1を配る。
(2)
生徒は家族に今まで何をしてもらったか、「~てくれる」の文型を使って、ワークシートにできるだけたくさん書く。また、家族に今まで何をしてあげたかを、「~てあげる」の文型を使ってできるだけたくさん書く (例1参照)。
<例1>
いつ誰が~てくれました
小さい時父が本を読んでくれました
16歳の誕生日に母が私においしい料理を作ってくれました

いつ誰に~てあげました
母の日に母にハンドバッグを買ってあげました
小学生の時弟におもしろい話をしてあげました

  • 別紙のワークシートは一例です。必要に応じて、項目を増やすなど、適宜変えてください。
  • ワークシートが用意できない場合は、生徒にノートに書かせてもいいでしょう。
  • この活動を少しやってみてやり方が理解できたら、ワークシート1の残りと後述のワークシート2は宿題にしてもいいでしょう。
  • もし、家族について書きたがらない生徒がいれば、無理に書かせず、親せきの人や友達について書かせてもいいでしょう。
4. 友達の気持ちを知る (3分)
  • ふだん仲のいい友達でも、家族に対して考えていることは、100%同じということはありえません。生徒はいろいろな考えがあることを知ることができます。
  • 4の活動は、友達とお互いに経験や気持ちを紹介しあう活動です。他者理解という観点から行います。しかし、自分の気持ちを書いたプリントを他人に見せるのが嫌な生徒もいるかもしれません。その場合は、無理に見せなくてもいいでしょう。
5. 家族にしてもらいたいこと、してあげたいことを考える (5分)
(1)
教師はワークシート2(別紙参照)を配る。
(2)
今度は家族に自分はこれから何をしてあげたいのか、何をしてもらいたいのかをできるだけたくさん書く (例2参照)。
<例2>
誰に~あげたいです
母に時々掃除を手伝ってあげたいです
祖父に新しいめがねを買ってあげたいです

誰に~てもらいたいです
母にもっとたくさん私の話を聞いてもらいたいです
父に毎日もっと早く帰ってきてもらいたいです
6. 友達の気持ちを知る (3分)
  • 4の活動と同様、生徒はいろいろな考えがあることを知ることができます。また、生徒がワークシートを見せるのを嫌がる場合は、見せなくてもいいでしょう。
  • 時間がなければ5、6はやらなくてもいいでしょう。
7. 授業後
発展例 (1)
<手紙例>

お母さんへ

お母さん、毎日おいしい料理をつくってくれてありがとう。わたしはお母さんの料理が大好きです。わたしも将来お母さんのように料理が上手になりたいです。

お母さんは、仕事と家事で毎日とても忙しそうです。これからはわたしも掃除を手伝いたいと思います。体に気をつけてください。

王麗より
発展例 (2)
執筆 中新井綾子 (吉林省教育学院所属、国際交流基金派遣青年日本語教師)
 
協力
 
李京煕先生
瀋清錦先生
董賀先生
澤田智穂子隊員
加藤悦子隊員
辻聖子隊員
長谷川聡子隊員
 
(長春市朝鮮族中学)
(長春市朝鮮族中学)
(長春市第8中学)
(長春市第11高校)
(長春市第8中学)
(長春市朝鮮族中学)
(長春外国語学校)