未知と勘太の写真を見せながら、教師が次のように説明したり、問いかけたりする。できるだけ、生徒との問答を重視し、一方的ではなく、双方向的に話を進めていくようにする。また、予め日本の地図を用意して教室の前に掲示しておく。地図がなければ、地図を黒板に書く。ただし、地名は書かない。

(1)

坂井未知さんです。今16歳で、高校1年生です。

(2)

この写真は何をしているところでしょうか。[牛の世話をしているところです]

(3)

ここはどこだと思いますか。[北海道です。北海道の農場です]

(4)

（地図を見せながら）北海道はどこにあるか知っていますか。[生徒に示させる]

(5)

北海道はどんなところでしょう。[北海道が自然が豊かであることに目を向けさせる]

(6)

未知さんは、北海道の標茶高校という高校で勉強しています。週末は、農家にホームステイして、牛の世話を手伝っています。

(1)

これは誰でしょう。ここはどこでしょう。何をしていますか。

(2)

未知さんの家族は、千葉に住んでいます。千葉は東京の近くです。[地図を指し示す]

(1)

ここはどこでしょう。[未知さんの高校の寮です]

(2)

未知さんの高校、標茶高校には寮があります。未知さんは、寮で生活しながら、標茶高校で勉強しています。

(3)

未知さんは、どうして、千葉から遠い北海道の標茶高校で勉強しているのでしょうか。[ここではまだ答えを出さない]

(1)

ここはどこでしょう。何をしているでしょう。

(2)

ここは尾瀬というところです。有名な湿原があって、自然がたくさんあります。ここで、「自然環境サミット」が開かれ、未知さんもこれに参加して、自然について調べたり話し合ったりしました。

(3)

さあ、未知さんは、どんな人だと思いますか。[未知さんは、自然にとても興味をもっています。]

(4)

未知さんは、どんな夢を持っているでしょう。[ここではまだ答えを出さない]

(1)

もう一人の日本の高校生を紹介します。大石勘太くんです。17歳で、高校3年生です。

(2)

これは何をしているところですか。[ガソリンを入れているところです]

(3)

勘太くんはガソリンスタンドでアルバイトをしています。

(1)

これは勘太くんが住んでいる街です。どこだと思いますか。[生徒に考えさせる]

(2)

勘太くんは東京に住んでいます。東京はどこでしょう。[生徒に地図を示させる]

(3)

東京はどんな街ですか。[日本の首都、日本の政治・経済の中心……]

(1)

勘太くんの家族も東京に住んでいます。たくさんいますね。誰でしょう。

(2)

お姉さんやお姉さんの子供も一緒にいます。みんなでクリスマスパーティーをしています。

(1)

これはどこだと思いますか。[生徒に考えさせる]

(2)

これは勘太くんの通っている山吹高校です。

(3)

どんな学校だと思いますか。

(4)

この学校は定時制で、夜にも授業があります。また、好きな授業を選んで勉強することができます。

(1)

これは何をしているところでしょう。[演劇の脚本を書いているところです。]

(2)

勘太くんは、将来はどんなことをしたいと思っているでしょう。[ここではまだ答えを出さない]

生徒をグループに分け、写真1～10を各グループに1枚ずつ配る。生徒はそれぞれの写真について観察して発見したこと、感じたこと、疑問に思ったことなどを記録し、グループ代表が最後にクラス全体に発表する。

生徒が写真を見ながら意外な点に注目し、関心を持つことが大いにある。教師は事前に写真の説明や素材文、関連情報を読んでおき、生徒の質問に対して適宜対応する。手元に情報がない、または情報があっても生徒に調べさせたい場合は、調べる方法を示したり、『ひだまり』編集部に質問の手紙を書かせたりしてもよい。

ここでの目標は、学習者が具体的な人物像や、主人公の具体的な生活場面に興味・関心を持ち、もっと知りたいという意欲を高めること、考えたことを日本語で表現する動機を高めることである。

内容理解のための質問を提示し、その答えを探しながら素材文を読むように生徒に指示する。

(1)

未知さんは、なぜ北海道の大学に進みたいと思っていましたか。

(2)

未知さんは、どんなきっかけで標茶高校に進学したのですか。

(3)

未知さんは、寮生活が好きですか。

(4)

未知さんは、土曜日に授業のない週末をどのように過ごしていますか。

(5)

未知さんは、環境保護についてどのように思っていますか。

(6)

未知さんは、将来どんな夢を持っていますか。

(1)

勘太くんは、勉強や読書が好きな子供でしたか。

(2)

勘太くんは、どんなきっかけでミステリー小説に興味を持ち始めたのですか。

(3)

勘太くんは、なぜ新宿山吹高校を選んだのですか。

(4)

勘太くんは、なぜ勉強が必要だと思っていますか。

(5)

勘太くんは、将来何になりたいと思っていますか。

(6)

勘太くんは、どんなミステリー小説を書きたいと思っていますか。

生徒に質問に答えさせることで、素材文の内容理解だけでなく、主人公の人物理解も促すことができる。

すでに学んだ文型や語彙の復習をしたり、新しい文型や語彙の学習と結びつけてもよい。

素材文を読んで得た情報をもとに、未知と勘太の現在の興味や将来の夢について思ったことを話し合わせ、出てきた意見を教師は板書する。

未知または勘太宛てに手紙を書かせる。手紙には以下の内容を含ませる。時間がない場合は、6を宿題とし、7と8を次の時間の学習内容としてもよい。

(1)

素材文を読んで思ったことや学んだことを伝える。

(2)

自分の夢について紹介する（その夢を持ったきっかけや理由、今頑張っていることなど）。

お互いの将来の夢について話し合わせる。クラスメート同士の相互理解を深める。

クラスメートと話した感想や、お互いの相違点・共通点、新しく発見したことなどについて述べさせる。