ヒント箱:日本語の学び方・教え方
 
2003年10月号
三  上:
あのう、すみません。民俗博物館(1)は、どう行けばよろしいでしょうか。
通行人:
民俗博物館(1)ですか。ええと、この道をまっすぐ行って、突き当たり(2)を左(3)に曲がってください。
三  上:
突き当たり(2)を左(3)ですね。
通行人:
ええ、そうです。そのまま(4)行くと、ちょうど民俗博物館の前に出ます(5)。
三  上:
そうですか。どうもありがとうございました。
通行人:
いえ、どういたしまして。
選択権を与える練習
●練習例1
  1. aのような地図を準備しておき、会話文の暗唱ができるようになった段階で、黒板に張ります。
  2. 現在地(↑の個所)を確認させます。
  3. 生徒を2人ずつ指名して、地図上の八つの場所から行き先を自由に選ばせて会話をさせます。
地図a
●練習例2
  1. 建物や場所名を書いてない地図を黒板に張ります。
  2. 1人の生徒が、行き先のカード(例えば「銀行」)を手に持ち、もう1人の生徒に道順を質問して、カードを渡します。
  3. 質問された生徒は、受け取ったカードを地図上の好きな場所に張って、そこまでの道順を説明します。
インフォメーションギャップを利用する練習
●練習例3
  1. それぞれ4ヵ所の行き先が分からないようになっているシートを2枚()用意します。
  2. ペア(2人1組)になった生徒に1枚ずつ配ります。
  3. 例えば、Aのシートを持った生徒がBのシートを持った生徒に、自分の地図では分からない「民俗博物館」への行き方を質問します。
  4. Bのシートを持った生徒が自分の地図を見ながらAの質問に答えます。
  5. 今度はBのシートを持った生徒が、自分の地図では分からない「中学校」への行き方をAのシートを持った生徒に質問します。
  6. Aのシートを持った生徒は、Bの質問に答えます。
●練習例4
  1. ペアになった生徒に場所名を書いてない地図をそれぞれ渡します。
  2. 一方の生徒に、ある行き先、例えば「銀行」を、地図上の好きな場所に書き込むよう指示します。
  3. 「銀行」を書き終わったら、もう一方の生徒が、「銀行」への道順を質問します。
  4. 質問された生徒は、自分の書いた場所までの道順を説明します。
  5. 「銀行」までの道順を質問した生徒は、その道順を聞いて、「銀行」の場所を特定し、自分の地図に書き込みます。
  6. 終わったあと、お互いに地図を見せ合い、「銀行」がそれぞれの地図上の同じ場所に書いてあるかどうかを確認します。
山口敏幸
(国際交流基金派遣日本語教育アドバイザー)