公益財団法人国際文化フォーラム

評議員会長 野間 省伸(のま・よしのぶ)

31年めのスタート

TJFはお陰さまで2017年、設立30周年を迎え、また新たな一歩を踏み出しました。皆さまのお力添えに対しここに改めて御礼を申し上げます。

私は何か新しいことを始めるとき、それがおもしろいと思えるかどうか、ワクワク感があるかどうかが基本にあります。もちろんリスクも検証しますが、ときにはリスクがあってもゴーサインを出すこともあります。10 年近く前、電子書籍に乗り出したときもそうでした。電子書籍を2万点発行、紙と電子の同時刊行、と大胆な目標にまで踏み込みました。電子書籍の将来がどうなるかは未知数でしたが、海外のルールを押しつけられても困るわけで、日本でのルールをつくるためには、いま始めておかないと大変なことになるという危機感がありました。その後の電子書籍の伸びは周知の通りです。現在3 万数千点の電子書籍を出しています。

人も組織も常に変化することで成長します。変わるためには新しいことに取り組むことが大事です。そのとき、失敗を極端に恐れる必要はありません。失敗したとしても、またトライすればいいのです。おもしろいと思っていることであれば再トライすることも苦にならないでしょう。

ある脳科学者からこんな話を聞きました。迷路の出口にチョコレートを置いてクローンねずみを順に放すと、どのねずみも最短ルートを見つけるものの、うまくいくまでにかかる回数がねずみによってずいぶん違うそうです。ところがこの正解のルートの通り道を1 ヵ所ふさぐと、前回いちばん回数が多くかかっていたねずみが最初に最短ルートを見つけられたというのです。つまり、たくさん失敗することが次の成功につながったのです。

皆さまに支えられた30年の歩みを礎として、新しいことに挑戦し続けていきたいと思います。皆さまのますますのご理解、ご協力をお願い申し上げます。

理事長 渡邊 幸治(わたなべ・こうじ)

31年めのスタート

1999年に理事長として新たなスタートを切ったとき、心に強くあったのは「初心に返る」ことです。外交官として40 数年、世界と向き合ってきたのですが、国際交流もかくあるべしと決めつけないで、まっさらな気持ちで草の根交流に励もうと思ったわけです。そして時代や社会の変化にあわせ、民間だからこそできる国際交流に果敢に取り組んできたと自負しています。

昨年設立30周年を機に、次の10年に向けふたつの新たな事業を始めました。ひとつは多言語・多文化交流プログラムです。さまざまな言語や文化背景をもつ高校生と、多様なことばや文化に興味をもつ高校生計30 名が3 泊4 日の合宿生活を送りながら、ことばだけでなく身体を使った活動を通じて交流を図りました。合宿を終えた参加者のひとりは、ことばや文化の違いから偏見をもつことはもったいないと発言しました。まさに偏見をもたないことは国際的であることの土台です。人を嫌うことは相手だけでなく自分の可能性も小さくしてしまいます。偏見は生産的でないのです。その意味で高校生の時期に柔らかな心でさまざまな仲間と交流することは大いに意義のあることだと思います。

そしてもうひとつの事業は高校生が学校とは違う場所で、同世代や大人たちと創作・表現活動に取り組む「学校のソトでうでだめし」です。昨年度は、舞台衣装家を招き、詩で表現される世界で自分が着る服をつくりました。詩を味わい、想像力をふくらませ、白いTシャツ5枚を使って思いおもいの服が仕立てられたのです。学校ではなかなかできない活動を通じて、高校生がもっている力を引き出していきたい。その思いで、いろいろなジャンル、テーマでこの試みを実施してまいります。

これから初心を忘れることなく事業に邁進したいと思います。皆さまのお力添えをよろしくお願い申し上げます。